まあまあ驚きです。
こちらの動画にて、「二段階右折を守っている自転車なんていない」と断言しちゃってますが。
偏見そのもの
これ、うちも取り上げた同じ事故だと思いますが、

こういうT字路で交通量がそれなりにある場合、確かに後続車や対向車の動静をノールックで右折する自転車もいる。
ただまあ、多くの自転車は後続車と対向車の動静を確認しないままノールック右折なんてしないわけで、一時停止して動静を確かめてから「横断」に近い形で進行する。
仮にそれが「交差点の左側端よりもちょっと内側かな?」みたいな位置だったとしても、やっているプレイに差はないのだから、34条3項の違反とはいえない。
ましてや、ガッチリ90°の角度で進行しなくても、それに近い角度であれば責めるような問題にはなり得ない。
「二段階右折を守っている自転車なんていない」は、偏見とかヘイトスピーチの類ですわ。
いやはや恐ろしいな。
そもそも、問題になるのは直進車の確認義務、つまりは右折とみれば37条、横断とみれば25条の2第1項の問題であって、問題がどこにあるのかも理解してない。
しかも、事故自転車が34条3項(交差点の側端に沿って徐行)に反していたかも報道からは読み取れないし、しまいには
「二段階右折を守っている自転車なんていない」
信号があるまあまあ大きな交差点に行けば、小回り右折している自転車のほうがマレだわ。
中央線もないような生活道路なら話は変わるが、信号がない交差点でも交通量が多ければ勝手に二段階右折にならざるを得ないよね。
ところで
こちらの記事ではあえて「どっちが悪い論」をしてないのですが、

一応理由があって、
・直進車の速度などが報道されていない
・報道媒体により若干の差がある
誰がどうとか言えるほどの内容がないので評価しにくい。
一般的には右折自転車より直進車が優先しますが(37条)、直進車におおよそ20キロ以上の速度超過があれば直進車優先権がないとする考え方もそれなりに採用されている。

ただし、普段から速度超過車が多い事情を知っていたなら変わるけど、そもそも直進車の速度すら報道されていない。
こういう場合って、報道内容と真実にズレが出やすいので「自転車の正しい右折方法の紹介」程度にしておいたのですが、
「二段階右折を守っている自転車なんていない」
などと偏見で評価されるなら、さすがに「無いわ」と思うわけです。
ところで以前も書いたけど、道路交通法上の右折とは以下の範囲とされます。

交差点において車体の向きが直進状態から変わりはじめ、交差道路の方向に完全に向きが変わる範囲をいう。
警視庁交通部 逐条道路交通法解説
この定義に自転車を当てはめると、この状態は右折完了になる。
自転車の向きを変えたあとを横断とみなすのか、右折中とみなすのかは解釈上では不透明としか。
道路交通法を作った宮崎氏によると、こう。
なお、本項の規定は、すべての車両が右折する場合に適用されることになるわけであるが、実際には、右小回りをすべき車両について適用されることになろう。
宮崎清文、注解道路交通法、立花書房、1966
二段階右折する自転車が劣後するのは感覚的にわかるけど、なんか変。
結局、自転車のルールってイマイチ明確とも言えなくて、執務資料なんかでもウヤムヤにされている。
二段階右折ラインがどこなのか?についても、変形交差点ならわからないし。
けどまあ、
「二段階右折を守っている自転車なんていない」
最初から偏見で見られているなら話にならんわな。
「変形交差点の二段階右折ラインはどこなのか?」という議論がネット上で度々起こるように、二段階右折している自転車が普通にいるわけな。
誰も二段階右折しないなら、二段階右折ラインの議論なんて誰もしないでしょうに。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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