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車両が横断歩道を通行することは禁止されていない。

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以前、車両(自転車のみならず)が横断歩道を通行(横断)することを禁止した規定はないんですよとどこかで書いた記憶がありますが、

 

横断歩道を原付が横断しても。
ちょっと前に書いた内容ですが、あとさ、「横断歩道を通行できる権利」。全自転車は横断歩道を通行できるし、そもそもオートバイだろうと横断歩道を横断することを禁止する条文はない。「他の車両や歩行者の正常な交通を妨害するおそれがない限り」横断歩道を...

 

実際のところ、禁止する規定はなく、歩行者や他の車両の正常な通行を妨害するおそれがあるときは禁止(25条の2第1項)。

 

ちょっとこれについて。

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車両が横断歩道を横断?

ちょっと前に「小児用の車」について書きましたが、

 

「小児用の車」は歩行者扱い。
先日書いた内容についていきなり「嘘つき」呼ばわりされるインターネットって凄いですよね。近々改正予定ですが、改正後も結局は歩行者扱い。現在の法規で示しますね。(定義)第二条3 この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。一 ...

 

東京高裁判例は、自転車が横断歩道を横断した際に左折車と衝突した事故。
これ、あえておかしなところで「切った」のですが、

本件事故の発生が、加害者の左方確認を怠った過失に基づくことは明らかである。しかし右認定の被害者の子供用自転車は大人用の自転車に比し小型で速力も遅いとはいえ歩行者より格段に早い速度をもちかつ惰力でも相当の距離を進行するものであるから、その機能からいっても歩行者とは異なる取扱いが相当であり、殊に道路交通の上で歩行者に生ぜしめ得る危険は歩行者が惹き起す危険に比すれば格段に大きく、その運転者は歩行者と同一には論じられないといわねばならない。したがって右認定の被害者の子供用自転車は道路交通法第2条第1項第11号および同条第3項第1号所定の小児用の車には該当せず、軽車輛として取り扱われるべきものであって(運転者の被害者が当時5歳余であり、また右認定の被害者の自転車のような自転車が一般に幼児用自転車と称して販売されているとしても、これらの事実はもとよりこの判断を左右するものではない。)、道路交通法規上その運転者は横断歩道を走行することは認められていないものというべきである。してみると被害者は本件横断歩道に進入することは許されなかったのであり、にもかかわらず、前記認定事実によれば、少くとも加害車が左折の方向指示をしつつ左折を開始しすでに左折の態勢にあったのに、被害者は加害車の動静に注意することなくやや安定を欠いた乗り方で鶴見駅方面の歩道から市場町方面に向かって本件横断歩道に進入したものと認められるのであり、被害者は本件事故発生当時5歳余ではあったが、自転車運転者はその速度や安定性等の点において単なる歩行者とは格段に異なる状態にあるのであるから、少くとも道路を通行するにあたっては事故防止のために通行車輛に対しなお一層注意しなければならないという程度の事理はこれを弁識し得る能力を備えていたものと認めるのが相当である(右認定を覆すに足りる証拠はない。)から、被害者が前記のように加害車に注意することなく本件横断歩道に進入したことは同人の過失であり、右過失もまた本件事故発生の一因をなしたものと認むべきである。

 

東京高裁 昭和52年11月30日

なぜか自転車が横断歩道を横断したことを「禁止」なんだと非難している。

 

これについて、警察庁交通企画課はこう説明しています。

本判決は、5歳7ヶ月の幼児が乗った子供用自転車を道路交通法上の「軽車両」に該当するとした上で、そのことから横断歩道上を通行したことが違法であり、不注意であると認定している点で道路交通法上の解釈上疑問はあるが(道路交通法上、車両の横断歩道通行を直接に禁止する規定はない)

 

「小児用の車の意義について」(警察庁交通局交通企画課 中澤見山)、月間交通1979年7月、東京法令出版

なぜか古い判例の中には「自転車が横断歩道を横断することは禁止」だと解釈しているものがたまにあります。
けど警察庁が説明している通り、「車両が横断歩道を横断することを禁止した規定は存在しない」。

 

唯一関係するのは、これ。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

警察庁の立場としては、正常な交通を妨害しなければ原付だろうとクルマだろうと、横断歩道を横断することは禁止ではないと考えています。

 

この話をすると「クルマや原付が横断歩道を横断したら違反に決まってるだろ!」と発狂する人がいるのですが、禁止する規定がない以上は禁止ではない
ただし、現実的には「クルマがわざわざ横断歩道を横断するタイミングがない」だけ。

 

オートバイが横断歩道を横断しても直ちに違反にはなりませんが、現実的にはそのような必要性がないのでしょう。

判例とは

そもそも判例が全て正しいわけではないし、特に民事はきちんと主張すべきことを主張しないとおかしな認定されたりする。

 

まあ、以前も挙げた「信号無視事件」についても、

 

交通取締が変わったかもしれない判例。
判例を調べている段階でちょっと面白いのを見つけました。車の交通違反は、原則として切符を切り反則金を支払えば刑事訴追されないシステム。赤信号無視で違反切符を切ろうとしたけど、本人は黄色で通過したと思っているので拒否し、パトカーの車載カメラを見...

 

大阪高裁が「ドラレコ見せない警察官が悪いヨ!」という画期的な判決を出して最高裁が破棄したりする。
個人的には大阪高裁の判決のまま確定したらまあまあ面白い事態になった気もしますが、裁判官がおかしな判断をすることはありますし、「判例だから正しい」みたいな雑な見方はしないに限るかと。

 

まあ、複数の判例を示しても納得しない人については論外ですが。

 

というわけで、原付が横断歩道を横断しても違反ではありませんが、そもそも、横断する必要がある場面はほとんどないのかもしれません。
特定小型原付についても、横断歩道を横断することは禁止されていませんが、自転車と同様に「正常な交通を妨げるときは禁止」。


コメント

  1. upmoon より:

    最近事故のニュースでこんな横断歩道みかけました
    https://youtu.be/D9BUU8jcvyg?t=17

    車両の通行の横断歩道って珍しいですよね

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