PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

ツールド北海道事故、「道路交通法の適用があるか?」なんてどうでもいい論点。

blog
スポンサーリンク

ツールド北海道事故が起きたのは9月8日なので、もう3ヶ月半以上が経ちました。
だいぶ風化した感がありますが、個人的には大会主催者の責任が大きいと考えてます。
主な問題点は下記2点。

 

①片側一車線&見通しが悪い狭い峠道で「道路左側部分」のみでの開催自体が無理だった。
そしてそれは日本自転車競技連盟(JCF)からも1年以上前にリスクを指摘されていたのに改善していない。

「落車、事故の危険リスクを伴う」

「大幅な改善が必要」

A4判の内部資料には、強い文言が並ぶ。

資料をつくったのは、日本自転車競技連盟(JCF)の専門部会「ロード部会」。昨年6月「ツール・ド・北海道協会」に対してレースで事故が起きる危険性を指摘したものだ。

 

「事故起きるリスク伴う」ツール・ド・北海道、いかせなかった指摘:朝日新聞デジタル
「落車、事故の危険リスクを伴う」 「大幅な改善が必要」 A4判の内部資料には、強い文言が並ぶ。 資料をつくったのは、日本自転車競技連盟(JCF)の専門部会「ロード部会」。昨年6月、「ツール・ド・北海…

②道路左側部分のみで開催するにしても、自主規制があまりにも雑だった。

ガードマンの方がいらっしゃいまして、なんか、なんかされてるみたいなんですよね。ちょっと止まって声を掛けまして、これ行けるんですか?ったら「行けるよ」って言うからそのまま、登ってきました。そうしましたらちょうどツールド北海道23ていう自転車競技が開催されていたみたいで、上の方からものすごいスピードで自転車が降りてまいりました。交通規制はですね、片側だけの交通規制ということで、まあ、こっちのほうは、山に登って行くほうは解放されて自由に走れると。まあ下りのほうは規制されているということでした。

 

ツールド北海道2023 上富良野→吹上温泉R291号 登り車線規制なし 怖かった

9月8日に自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」で起きた交通事故で、死亡した選手が走っていた21人の集団の前には対向車に注意を呼びかける「先導車両」がいなかったことが29日、わかった。

 

死亡選手の前に先導車なし 「ツール・ド・北海道」第三者委が初会合:朝日新聞デジタル
9月8日に自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」で起きた交通事故で、死亡した選手が走っていた21人の集団の前には対向車に注意を呼びかける「先導車両」がいなかったことが29日、わかった。専門家でつく…

検討会では、事故発生当時、死亡した選手の前方約2キロにわたって誘導バイクなど関係車両が走っていない区間があったと考えられるとする協会の調査結果を報告。

 

衝突前2キロ誘導車なし ツール・ド・北海道死亡事故 検討会初会合:北海道新聞デジタル
自転車ロードレース「ツール・ド・北海道2023」で先月発生した選手の死亡事故を受け、大会を主催するツール・ド・北海道協会は29日、事故原因の調査や今後の対策を有識者らで議論する「安全対策検討会」の初会...

これらが問題だと思うのですが、以前書いた記事に何度も「お前が間違っている」と指摘されていたのですが…

スポンサーリンク

規制区間内は道路交通法の適用外?

何度もメール頂いた方の趣旨はこれ。

・規制区間内は道路交通法の適用外に決まっているたろ
・北海道警察の交通事故情報マップにも当該事故は掲載されていない。つまり道路交通法の適用外だからだ。

道路交通法の適用があるか?については以前解説していますが、道路交通法の適用があるかないかはそもそも「事故再発防止の観点」からするとどうでもいい話。
単に法律解釈から見た場合、規制区間内でも道路交通法の適用はあると考えられます(東京高裁 昭和42年5月31日判決参照)。

 

道路使用許可がある場所で道路交通法違反が成立するか?
個人的にはそもそも論点がおかしいと思っているので、どうでもいい話になります。 ツールド北海道事故について、被害者さんが対向車線にはみ出したことを道路交通法違反だと考える人もいるのが事実。 個人的にはそこは論点になり得ないというか、集団落車な...

 

その上で。

読者様
読者様
北海道警察の交通事故情報マップにも当該事故は掲載されていない。つまり道路交通法の適用外だからだ。

と、力説されてもまあまあ困るのですが、普通に掲載されてません?

北海道警察 交通事故情報マップ

個人的には道路交通法の適用があるかないかは、今後の事故再発防止とは関係ない論点にしか思えませんがこういうのってすぐに反映されるわけではないはずだし、警察内部での事件処理が完了するまでは掲載してない可能性もあるわけで、数ヶ月先にならないと掲載されないことなんて良くある話だと思いますよ。

 

判例上は、規制区間内でも道路交通法の適用があります。

 

判例は東京高裁 昭和42年5月31日。
長野県の県道について、道路工事のために通行禁止となっていた場所において無免許運転をしたもの。
無免許運転したのは工事関係者で工事車両を無免許運転です。
「被告人は本件自動車を運転して右道路の南側端寄りの部分をならす作業に従事していたものであるところ」とある通り。

 

原判決挙示の実況見分調書によれば、被告人が無免許で大型特殊自動車(ロード・ローラー)を運転したとされる原判示第一の道路は、長野県々道にして、本来、一般通行の用に供する道であつたことが明らかであるから、道路法第2条第1項、第3条第4号所定の道路にあたり、したがつて、道路交通法第64条、第2条第17号、第1号により、本件自動車の如き車両等の運転には免許を要する道路交通法上の道路と認められることもまた明らかである。所論は、被告人が本件自動車を運転した区間は、道路工事のため、道路標識をもつて一般の通行が禁止された場所であるから、道路交通法にいわゆる道路ではない旨、縷々主張するが、所論のような通行の禁止は、道路管理者が、一定の場合に、道路の構造保全、または、交通の危険を防止するため、一時的に行なう道路管理上の措置に過ぎない(道路法第46第1項、第48条第1、2項参照)のであり、むしろ、道路本来の目的効用を達成するための措置であつて、それが道路たることを否定するものではない。これを、運転免許制度の趣旨からみても、同制度は、道路における車両による危険の防止を図らんとするにあるものであるところ、所論のような通行禁止の標識のみをもつてしては禁止区間内に一般通行人が立ち入ることを完全に防止しうるものではないのみならず、右にいわゆる危険とは、ただに一般通行人に対する危険に限らず、所論のような通行禁止区間内において工事に従事する者、あるいは、同区間内に存する物に対する危険等、ひろく、一切の危険を含むものと解すべきであるから、たとえ、所論のように道路標識が設置されて一般の通行が禁止され、かつ、被告人の運転した自動車が工事用の自動車で、その運転区間も右通行禁止区間内に止まるとしても、本件の如き自動車の運転に免許を要しないものとする合理的根拠とはなしがたい。以上の諸点に関する所論はすべて独自の見解というほかなく、論旨は採用の限りではない。

 

東京高裁 昭和42年5月31日

 

この手の話を書くと「じゃあなぜレース参加者が並進違反にならないんだ!」などと言ってくる人も当然います。
要は77条による道路使用許可って、本来は禁止されている道路での行為について「公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められる範囲で」許可を出す(77条2項3号)。
レースという形態で使用許可を出した以上、「レースという形態において公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められる範囲では」道路交通法の具体的義務や違反を適用しないという話なんじゃないのかな。
明文化はされていませんが。
しかしそこに無免許運転や飲酒運転などがあるなら、重大事故に繋がりかねないから違反としては適用できる余地を残しているようなイメージなんじゃなかろうか。

 

それについての法律上の話はこちらにも書いてますが、道路交通法の適用がないという解釈をしたら全く意味がわからない状況に陥ると思いますが…

 

道路使用許可がある場所で道路交通法違反が成立するか?
個人的にはそもそも論点がおかしいと思っているので、どうでもいい話になります。 ツールド北海道事故について、被害者さんが対向車線にはみ出したことを道路交通法違反だと考える人もいるのが事実。 個人的にはそこは論点になり得ないというか、集団落車な...

 

情報に踊らされないで、冷静に考えませんか?

その上で「そこは論点になり得ない」

規制区間内に道路交通法の適用があるかないかなんて一部の道路交通法マニア以外にはどうでもいい話だと思うのですが、大会主催者に問題があったことは明らかで、自主規制にしても全く機能してなかったからこんな感じでスルーできてしまうわけ。

ガードマンの方がいらっしゃいまして、なんか、なんかされてるみたいなんですよね。ちょっと止まって声を掛けまして、これ行けるんですか?ったら「行けるよ」って言うからそのまま、登ってきました。そうしましたらちょうどツールド北海道23ていう自転車競技が開催されていたみたいで、上の方からものすごいスピードで自転車が降りてまいりました。交通規制はですね、片側だけの交通規制ということで、まあ、こっちのほうは、山に登って行くほうは解放されて自由に走れると。まあ下りのほうは規制されているということでした。

 

ツールド北海道2023 上富良野→吹上温泉R291号 登り車線規制なし 怖かった

自主規制と呼んでいる意味にしても、「法律上」は私人には規制する権限がないというだけの話だと思いますが、

 

ツールド北海道における「交通規制」と「自主規制」の意味。
先日、ツールド北海道事故の第三者委員会が開催されましたが、 そもそもの話として、道路左側が「警察による交通規制」、対向車線(KOM付近などを除く)が「自主規制」という意味をまだ理解してない人もいたりします。 警察によりますと、現場はカーブが...

 

なんかおかしな情報を流している人がいる話は聞いてますが、この件に限らず、事実を確定させないまま推測を重ねるのってあんまり良くないと思う。
例えば、「規制区間内で道路交通法の適用があるか?」なんて話はそもそも論点になり得ないと思うけど、上で挙げた判例なんてたぶんほとんどの解説書には掲載されているのでは?
規制区間内でも道路交通法の適用があると判示された高裁判例があるのに、「ない」と言い切るのはムリがあると思う。

 

その上で、道路交通法の適用があるかないかなんて今後の事故再発防止とは関係がない話。
そう思いません?

 

ちなみにですが、おそらくは事故情報マップに掲載するのは警察内部での事件処理が完了してからの可能性があるため、警察内部での一連の捜査が終わったのかもしれません(単なる推測なので内部処理についてはわかりません)。
もしそうなら、何らかの動きがある可能性もあります。

 

第三者委員会は一回開催したきりでその後の状況はわかりません。

 

ついでに書いておきますが、こういう意見もしばしば見かけます。

いろんな人
いろんな人
なぜ警察が記者会見してきちんと説明しないのだ!?
隠蔽じゃないのか?

警察って基本的に、よほどのことがない限りは全ての事故について捜査情報を記者会見を開いて説明することなんてないです。
ちょっと前に警察の捜査が杜撰だったことから無罪(過失運転致傷)となった事例が2件ありましたが、

 

「直進車の赤信号無視」を見落として起訴し無罪の事件、検察官は何を主張したのか?
ちょっと前になりますが、右直事故について直進オートバイが赤信号無視していたことを見逃したまま右折車ドライバーを起訴し、結局無罪(過失運転致傷、報告義務違反)になった判例がありました。 検察官は控訴を断念して無罪が確定しただけでなく、福岡県公...

 

無罪と運転免許取消は別!というのは、市民感覚からすればズレている。
過失運転致傷罪(自動車運転処罰法)が無罪になったからといっても、行政処分は別というのは市民感覚からすればズレていると思いますが、法律上は「別」になってしまう。 交通事故をめぐる刑事裁判で無罪となったにもかかわらず、運転免許の取り消し処分が変...

 

警察の捜査が正しいかについては、裁判所が決めることなので、事前に発表することなんてどの事故でもないと思いますが…

 

道路交通法の適用があるかないかなんてどうでもいい話だと思いますが、「お前が間違っているだろ」と執拗に責められましても、もう少し冷静になられたほうがいいと思うのよ。

 

ツールド北海道事故についても、主催者の問題を的確に指摘することが必要だし、どうでもいい論点を持ち出せば話がボヤけるだけに感じますが。

 


コメント

タイトルとURLをコピーしました