議員さんが横断歩道を横断中の歩行者をはねたそうな。
24日午前11時半ごろ、千曲市上徳間の市道で、信号機のない横断歩道を渡っていた市内のパート従業員の女性（21）が、上田市・小県郡選出の県議会議員高村京子議員（69）の運転する普通乗用車にはねられました。女性は骨盤骨折などの重傷です。
高村県議と同乗者1人にけがはないということです。
現場は見通しの良い、ほぼ直線の道路で、警察は事故原因などを詳しく調べています。
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原因は？
この場合、減速接近義務を怠って横断歩道に接近したか、減速接近していたけど左右の注視が不十分だったかになりますが、
長野県千曲市で
確か記憶によると、長野県は日本屈指の一時停止率を誇る都道府県だったような。
まあ、JAFの調査結果と事故数に相関性があるようには思えない話は以前書いた通り。
◯令和4年中の長野県の交通事故について、違反別統計。
https://www.pref.nagano.lg.jp/police/toukei/koutsu/documents/r412-7ihan.pdf
◯令和4年中の新潟県の交通事故について、違反別統計。
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/359668.pdf
| 長野県 | 新潟県 | |
| 人口(R4年8月) | 2,007,347 | 2,129,722 |
| 一時停止率(R5) | 84.4% | 23.2% |
| 一時停止率(R4) | 82.9％ | 25.7％ |
| 歩行者妨害事故(死亡者) | 246(2) | 204(2) |
ところで。
具体的にどんな事故態様なのかはわかりませんが、理屈の上では「減速接近していたけど左右の注視を怠った」でも横断歩行者妨害は起きます。
ほとんどの場合は減速接近義務違反でしょうけど。
ちょっと前に読者様から
と言われたのですが、あまり無いです。
強いていうならこういう判例があります。
被告人車は時速8～10キロで進行していましたが、対向車の隙間から少女が出てきた。
少女が立ち止まったため被告人車は一時停止することなく進行しましたが
実は少女の後ろには弟がいて、スキップしながら横断。
被告人車の側面に衝突した事故です。
このように横断歩道上を横断しようとしてその中央付近手前まで歩んできた歩行者が、進行してくる被告人車をみて危険を感じ、同歩道の中央付近手前で一旦立ち止まったとしても、横断歩道における歩行者の優先を保護しようとする道路交通法38条の規定の趣旨にかんがみると、右は同条1項後段にいう「横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者」にあたるというべきである。
所論は、しきりに、横断歩道上、右側への見通しがきかない状態にあった点を強調し、一時停止しても、結果は同じだった旨主張するが、そこが、歩行者優先の横断歩道である以上、前記のとおり見通しが困難であれば、一層、安全確認のため一時停止すべきであり、更に進行するに際しても、最徐行するなどして横断歩道上の右方の安全を慎重に見極めつつ進行すべき業務上の注意義務があった
大阪高裁 昭和54年11月22日
減速していても横断歩行者妨害は起きます。
ちなみにですが、横断歩道の判例ではありませんが最近見通しが悪い場所にて「一時停止後に小刻みに発進と停止を繰り返して安全確認すべき注意義務」を認定した判例がいくつか見られます。
◯歩道を横切る際の事例
◯対向車の隙間を抜けて路外に右折横断した事例
このような見通しが悪い場所にて「一時停止後に小刻みに発進と停止を繰り返して安全確認すべき注意義務」を横断歩道に適用した判例ってあるのかな？と思って探してみたのですが、よくわからないです。
そういう判例がいずれ出てもおかしくはない気がしますが…そこまで見通しが悪い横断歩道の事例がないのですかね。
今回の報道は「見通しがいい直線道路」とありますが、全国屈指の一時停止率を誇る長野県…
ちなみにこれも横断歩行者妨害ですが、長野県…
調査内容がビミョーなんじゃないかと思っているのですが、少なくとも他県と比較しても事故数が…
なぜでしょうか？
そもそも、ちゃんとしている県民からすると「同じ県」で括られても困るのかもしれませんが。
逮捕されないのは忖度？
ヤフコメをみると、「逮捕されないのはおかしい！上級県民だからか？」みたいなのがありますが、逃亡のおそれも証拠隠滅のおそれもなければ逮捕すると問題になりうるし、議員がまさか逃亡するとは通常考えないかと。
上級国民と言われた方も逮捕されなかったですが、きっちり有罪で収監中。
逮捕って刑罰じゃないしそこが重要とは思わないのですが、逮捕されて欲しいみたいな話なんですかね。
逮捕の有無と過失の大小も関係ありません。
減速接近、前方左右の注視が大事としか言いようがないのですが、横断歩道事故の多くは減速接近義務違反の問題。
減速接近義務違反の取締りってあまり聞かないのですが、「いたら止まる義務」の前に「いるかいないかわからないなら警戒する義務」なんですよね。
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