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「当たっとるんや!」とひき逃げされた8歳自転車は、道路交通法上歩行者なのか?

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鬼畜の所業…事故を起こして「当たっとるんや!」と怒鳴り逃亡したそうな。

ところで、この場合「例の問題」が勃発します。

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8歳が乗る自転車は「歩行者」なのか?

もう勘のいい方ならお分かりですよね。

道路交通法2条1項11号が「小児用の車」を軽車両から除外し、同条3項1号が「小児用の車を通行させている者」を歩行者とした所以を考えるのに、同じく自転車の類型に入るものであつても、「小児用の車」にあたれば、これに乗つて進行している者は歩行者とされ

福岡高裁 昭和49年5月29日

小児用の車に該当する自転車は、道路交通法上は歩行者です(2条3項1号)。
ちょっと前にも書いたけど、日本の道路交通法ってわざと曖昧にしているのかなとすら思いますが、義務の発生点と違反の成立が一致しない。

結果論で考えない道路交通法の義務と違反。
道路交通法の一部規定には、義務の発生と違反の成立が一致しないものがあると思ってまして、違反の成立を基準に考えるといろいろ間違う気がしてます。 今回はそんな話を。 合図車妨害 たぶんこれが顕著に出るのは合図車妨害禁止の話。 (左折又は右折) ...

この子が道路交通法上、歩行者(小児用の車)なのか自転車なのかは裁判しない限りはわかりません。
見分けは不可能なので、他人からすれば小児用の車(歩行者)だとみなすしかない。
歩行者であれば「横断しようとする歩行者」になるので一時停止義務があります。

 

まさか、「歩行者か自転車かわからないのだから、オレに都合よく自転車とみなそう!」みたいな鬼畜性強めな発想になるわけじゃあるまいし。

 

さて、話を戻します。

26日午後、兵庫県尼崎市の市道で、8歳の男児が乗った自転車と、車が接触しました。

男児は負傷し、車は走り去っていて、警察がひき逃げ事件として捜査しています。

26日午後6時40分ごろ、尼崎市上ノ島町の市道で、東向きに走っていた自転車と、西に向かっていた車が接触しました。

警察によりますと、自転車には、現場近くに住む男児(8)が乗っていて、車との接触によって転倒。

腰を打撲し、軽傷とみられます。

車からは接触直後に男が降りてきて、男児に対し、「おら、当たっとんや」などと怒鳴り、男児を救護することなく、再び車に乗って走り去ったということです。

「おら、当たっとんや」8歳男児の自転車と接触 車の男は怒鳴って走り去る ひき逃げ事件として捜査 兵庫・尼崎市(ABCニュース) - Yahoo!ニュース
26日午後、兵庫県尼崎市の市道で、8歳の男児が乗った自転車と、車が接触しました。  男児は負傷し、車は走り去っていて、警察がひき逃げ事件として捜査しています。  26日午後6時40分ごろ、尼崎

ちょっと暗くなった時間なので、なおさら歩行者なのか自転車なのかは判断不可能ですが、他人からすれば歩行者(小児用の車)とみなすわけなのでこうなる。

(左側寄り通行等)
第十八条
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
(運転者の遵守事項)
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
二 身体障害者用の車が通行しているとき、目が見えない者が第十四条第一項の規定に基づく政令で定めるつえを携え、若しくは同項の規定に基づく政令で定める盲導犬を連れて通行しているとき、耳が聞こえない者若しくは同条第二項の規定に基づく政令で定める程度の身体の障害のある者が同項の規定に基づく政令で定めるつえを携えて通行しているとき、又は監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること。

とりあえず安全側方間隔又は徐行ですが、事故現場の幅員からすれば両方必要かと。

 

難しいよね。
小児用の車(歩行者)であれば右側端通行義務(10条1項)、自転車であれば左側端通行義務(18条1項)。
他人からすればこの子が歩行者なのか自転車なのかわからないので、そこは大きな問題ではないのかもしれません。

 

なお、ひき逃げ(救護義務違反)についてはいうまでもなく。

現実的に

小児用の車として認められる基準は法律上はありません。
警察庁は①概ね6歳未満、②16インチ以下、③時速8キロ程度までの3要件を示してますが、裁判所が警察庁の指針に従う理由もないのでケースバイケースで判断している。

自転車なのに歩行者扱いになる「小児用の車」についてひたすら検討してみた。
ほとんどの人が知らない道路交通法として、幼児が乗る自転車は「小児用の車」(法2条3項1号)になり歩行者扱いになります。 道路交通法2条1項11号が「小児用の車」を軽車両から除外し、同条3項1号が「小児用の車を通行させている者」を歩行者とした...

判例でいうとほとんど認められてないのですが。

判例 年齢 自転車サイズ・速度 裁判所の判断
東京高裁S52.11.30 5才7ヶ月 ハンドル高80センチ、車輪直径40センチ 軽車両
東京地裁S53.12.14 4才11ヶ月 補助輪付幼児用自転車(7、8キロ) 小児用の車(歩行者)
岐阜地裁H19.3.9 6才2ヶ月 16インチ 軽車両
東京高裁H26.12.24 6才 18インチ 軽車両
福岡高裁S49.5.29 9歳8か月 22インチ 軽車両※
浦和地裁S57.3.31 7才8ヶ月 16インチ 自転車

※一審は「小児用の車」としたものの、二審は軽車両と認定。

 

まあ、パッと見て「何歳か?」なんてわかるわけもないので

大人としては、このあたりは全て「小児用の車(歩行者)」とみなすしかないですが、「当たっとるんや!」と発狂する人からするとこの子が歩行者なのか自転車なのかは関係ないのでしょうね。

 

結果論で考えると小児用の車として認められる可能性は低いでしょうけど、

パッと見て何歳なのかわかるわけもない。
なので小児用の車とみなして保護義務が発生することになりますが、違反として成立するかは別問題だし、結果的に「小児用の車」じゃなかったとしても結果論なので関係ない。

 

「あのとき、義務があったのに怠ったよね?」じゃなくて、「あのとき義務があると思ってプレイしたけど、実はなかったわ」のほうが安全。

 

何事もなければ小児用の車かどうか確定することもないのですけどね。


コメント

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