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「停車」に一時停止も含まれる。

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読者様から「これって合ってる?」と質問を頂いたのですが、

 

これは誰が何のために書いた記事なのかわかりませんが、間違いという以前に意味がわからないというのが感想です。

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停車には「一時停止」も含まれる

道路交通法の「停車」とは、「駐車以外の停止全て」だと規定しているので、

十九 停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。

一時停止も「停車」に含まれる。
これは専門書でも同様の見解です。
「最新道路交通法事典」(東京地検交通部)や宮崎注解、横井註釈など同じ見解ですが、定義上そうなっているので当たり前かと…

停車

車両等が(A)貨物の積卸しのため五分をこえない時間停止すること(車両等の運転者がその車両を離れていないか、または離れていても直ちに運転できる状態でする場合に限る)、(B)人の乗降のため停止すること(車両等の運転者がその車両を離れていないか、または離れていても直ちに運転できる状態でする場合に限る)、(C)法令の規定により一時停止すること、(D)警察官の命令により一時停止すること、(E)危険防止のため一時停止すること、である。

 

交通法令研究会、逐条道路交通法、警察時報社

例えば、駐停車禁止場所(44条)でも「法令/危険防止の一時停止」を除外していることからみても、

(停車及び駐車を禁止する場所)
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。

停車には一時停止が含まれるからわざわざ除外しているわけでして。

 

47条3項と17条2項により堂々巡りが起きる…という解釈をする人もいるのか…とある意味勉強になりましたが、法律の読み方の問題なのよね。

47条3項と17条2項で堂々巡り?

47条3項は路側帯がある場合の停車方法、17条2項は路側帯を横切る前の一時停止を規定してますが、わりとシンプルな話として。

 

駐停車する際の方法(47条3項)と、路側帯を横切る前に路側帯の安全確認を目的とした一時停止は、別の目的で規定していることは明らかとしか言いようがなく、わざわざ47条3項で「17条2項の場合を除き」などと規定しなくても両者は互いに干渉しない規定なんだと理解できる。

 

単にそれだけの理由です。

 

ところで47条3項。

(停車又は駐車の方法)
第四十七条 車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
2 車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
3 車両は、車道の左側端に接して路側帯(当該路側帯における停車及び駐車を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたもの及び政令で定めるものを除く。)が設けられている場所において、停車し、又は駐車するときは前二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該路側帯に入り、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
47条1項 47条2項
状況 人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するとき 駐車するとき
義務 できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない 道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない

3項は昭和46年に路側帯が新設されたことに伴い、新たに規定されたもの。
「前二項の規定にかかわらず」としていることや、立法経緯からみても3項は1/2項の例外規定なんだと理解できる。

 

なので3項でいう停車とは、1項でいう「人の乗降又は貨物の積卸しのため停車」を指しているのでは?と思うのですが…
1/2項の例外なんだと明らかにするために「前二項の規定にかかわらず」としていることや、立法の経緯から考えてもそう捉えるのが妥当だし、ましてや元々別の趣旨で規定している17条2項と干渉すると解釈することはムリです。

なお、1項が「人の乗降又は貨物の積卸しのための停車」に限定した理由はこちら。

停車の方法を「人の乗降又は貨物の積卸しのため停車」に限ったのは、これ以外の停車は、おおむね車両が一時停止する場合であって、方法の規制を必要としないからである。

宮崎清文、条解道路交通法、立花書房、1961

1項は、人の乗降又は貨物の積卸しのための停車をする場合のみに適用があることに注意する必要がある。しかし、これ以外の停車は、多くの場合法令の規定による一時停止とか警察官の命令による一時停止あるいは危険防止のための一時停止であるので、とくにここで規制を必要としないという考え方にもとづいたものである。

木宮高彦・岩井重一、詳解道路交通法、有斐閣ブックス、1977

1項の趣旨は「一時停止を除外するために人の乗降又は貨物の積卸しのための停車に限定」。
3項は路側帯が新設された昭和46年に新設され、「前二項の規定にかかわらず」として1/2項の除外であることを明確にしている趣旨を考えれば、3項でいう停車とは「人の乗降又は貨物の積卸しのための停車」を指していると捉えるのが自然だと思うのですが…

法律の読み方

例えば37条の規定。

第三十七条 車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。

「交差点において直進し、又は左折しようとする車両」とは、信号を遵守した直進/左折車なんだと捉えるのは当然ですが、条文には書いてない。
38条1項や38条の2にも信号について記載がありませんが、わざわざ書かなくても信号遵守した適法通行車を優先する規定なんだと理解できる。

 

昭和46年改正以前の42条はこう。

(徐行すべき場所)
第四十二条 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点で左右の見とおしのきかないもの、道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近、勾配の急な下り坂又は公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めて指定した場所においては、徐行しなければならない。

現行法と異なり「優先道路の場合は除外」とは書いてないけど、最高裁判所は優先道路と広路車優先が働く場合には徐行義務はないとした。

車両等が道路交通法42条にいう「交通整理の行なわれていない交差点で左右の見とおしのきかないもの」に進入しようとする場合において、その進行している道路が同法36条により優先道路の指定を受けているとき、またはその幅員が明らかに広いため、同条により優先通行権の認められているときには、直ちに停止することができるような速度(同法2条20号参照)にまで減速する義務があるとは解し難い

最高裁判所第三小法廷 昭和43年7月16日

※この解釈は昭和46年改正で無効に。

 

なぜ条文に書いてないのに除外があるかというと、法律の読み方の問題なのよね。
それこそ37条や38条1項、38条の2などに「赤信号除外」が書いてないのも、それは条文趣旨からすれば当たり前だからでしかないし、優先がなくても安全運転義務(事故回避義務)は免れない。

 

要は、普通に読めば理解できる内容についてはわざわざ書いてないけど、疑義が生じる規定についてはきちんと除外しているみたいなイメージなのかも。
ただし、必ずしも分かりやすいとも言い難い。

 

なのでこれ。

 

そもそも条文に反する独自論ですし、専門書にも反する見解なので何の目的で書かれた記事なのかはわかりかねます。
「わかりやすくたとえた心臓」については、意味がわからないたとえなので余計何を言いたいのかわかりませんが…そもそも何の目的で書かれた記事なのかわからない。

 

もう1つ書くと、38条2項にしてもそもそもの立法経緯すら知らないまま議論することには賛同いたしかねます。

道路交通法38条2項についての国の説明。安全のためには、法にこだわり過ぎてもね。
道路交通法38条2項の解釈について質問と面白い話を頂いたのですが、法解釈上は「横断歩道又はその手前にある停止車両」とは同一進行方向の停止車両の話で、対向車の停止車両の際は1項前段により最徐行になります。 (横断歩道等における歩行者等の優先)...

コメント

  1. GO より:

    自分自身、よく似たメモのとりかたをしているし時々それをその時点の考えとして公開しているので、ドキッとして心臓が一時停止しました。
    やばい、こういうこと言ったとも言えないとも全く自信もって言えない…なので、ごめんなさい。

    ググってみたら別の方で、とりあえず胸をなでおろしました。
    でも確実にいつの日か、どこかをぶった切られるであろうなと、ドキドキしています。
    ちょうど、何か本を買わないとなと逡巡しているところです。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      個人的には心臓の一時停止と停止の違いという意味を知りたいのですが、ナイショの話として、国会図書館の会員なら古い解説書はネット上で閲覧可能です。
      ナイショ&シークレットな情報になりますが、ひっそりとお役立てください。

      • GO より:

        明らかに違う状態だそうですが、僕にはわかりませんでした。

        違ったらすみませんが、AがBを含むって、Aの中においてはBに該当する部分だけBとも言える、という感覚のことですよね。プリンの底部がカラメルであるように。
        ですが氏は、Aと言ったらそれがどんなAであったとしても遍くCを有しているんだと、一体視するような「含む」で論を展開しているかのように見えました。醤油を半分混ぜたコーラがどこを飲んでも不味そうなように(※憶測です)。
        47条3項では一時停止と書かれていないのに一時停止するたびに~と論じていますので。
        堂々巡りの入口がそこな気が、するようなしないような。

        47条3項や堂々巡りにちなんで、ねじれ?を感じている些細なことがありまして。
        17条の3の第1項にある、「道路の左側部分に設けられた路側帯」です。車道内に路側帯があることになるような…。
        47条3項風に「車道の左側端に接した路側帯」だったらわかるなと思うのですが、これに特に深い意味はないのでしょうか。

        国会図書館に、○人向けデジタル化○○○○サービスがあったんですね。ありがとうございます、こっそり…やってみます。
        古いものでとなると、昔の9条3項が今の4条5項なのかなと思うのですが、そのあたりのことを調べてみようかなーと思っています。

        • roadbikenavi roadbikenavi より:

          コメントありがとうございます。

          17条の3は確かに言われると変ですが、変であることに気がつかないかもしれません。
          意味さえ通じれば問題ないですし。

          文理解釈をし過ぎると、おかしな点は出そうです。

          • GO より:

            ありがとうございます。そうですよね。
            何も区別のなかったところに白線が描かれて生まれたばかりの路側帯に限定しているんです!というありえない想像をして萌えていました。

          • roadbikenavi roadbikenavi より:

            なんとなく意味さえ通じれば問題無しなのかもしれません笑

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