これについてですが、個人的見解としては道路交通法上は規定がないと考えている。

イメージはこうですかね。
信号は省略してます。
道路交通法上は規定がないと考える理由
要は自転車の二段階目のプレイについて、
①右折途中
②横断
③交差点の直進
どの立場を取ってもビミョーだからです。
まず、右折車に課された義務はこれ。
それぞれ考えていきます。
右折途中と捉えた場合
自転車の二段階目のプレイを「右折途中」と捉えた場合、右折車対右折車の関係になり結局優先権はどちらにもないことになる。
そして自転車の右折は徐行となってますが、
二段階目のプレイを右折途中と捉えた場合、二段階目も徐行義務があるように思える。
しかし信号交差点を考えたときに、③に徐行義務を課す理由が見当たらない。
要は「右折」とはどの範囲なのか確定させる必要がありますが、旧37条2項でいう「既に右折している車両等」の最高裁判例を考えると、現37条でいう「右折するとき」とはこうなる。
交差点において車体の向きが直進状態から変わりはじめ、交差道路の方向に完全に向きが変わる範囲をいう。
警視庁交通部 逐条道路交通法解説
そうすると、③は「右折途中」とは見なせない。
横断と捉えた場合
自転車の二段階目を「横断」と捉える余地もある。
例えば、これは「車両の横断」ですよね。
プリウスらしい pic.twitter.com/EBdNWGzO4R
— 動画紹介 (@douga1975) October 19, 2024
車両の横断と捉えた場合、最劣後することになる。
第二十五条の二
車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。
歩道から「横断」した場合と交差点内で「横断」した場合をわける必要があるのか?という疑問がありますが、車両の横断(25条の2)とは別に「第六節 交差点における通行方法等」として34条を定めていることを考えると、交差点内を二段階右折する自転車を「横断」と捉えるのは疑問。
直進と捉えた場合
二段階目のプレイを「交差点を直進」と捉えた場合、これもやや疑問。
というのも、信号がない交差点において、
赤自転車の後続車との関係で、二段階右折する自転車が「左方優先」等の優先権が生じるのではないか?という疑問。
とはいえ、「右折」とは向きを完全に変える地点までを意味し、あとは直進と捉えるのが妥当な気がするのですが、
37条でいう相手方は
「直進しようとする車両等があるとき」ではなく、「当該交差点において直進しようとする車両等があるとき」。
右折する自転車を「当該交差点において」直進しようとする車両等とみなすのもなんか変。
自転車はあくまでも「当該交差点では」右折したのよ。
これらを考えると
おそらく、道路交通法上はこの関係において優先権はどちらにもないのかと。
優先権はどちらにもなくても、双方ともに事故回避義務があり、ましてや強者対弱者の関係ならケガさせるわけにはいかないので、現実的には右折車が譲るしかないような。
これについては、旧37条2項の解釈も含めて考えるしかないし、

道路交通法を作った宮崎氏によると、37条は二段階右折する自転車に適用し難いかのようにしている。
なお、本項の規定は、すべての車両が右折する場合に適用されることになるわけであるが、実際には、右小回りをすべき車両について適用されることになろう。
宮崎清文、注解道路交通法、立花書房、1966
まあ、
道路交通法上は優先権が不明でも、実情と注意義務から考えると自転車が優先するでしょうけど、要は二段階右折する自転車を考慮した条文になってないだけなような。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
気になっていたケースなので、興味深く拝見しました。
以前通ってた丁字路で、二段階右折なぞ知らん、と言うような感じで突っ込んでくる右折車が多かったので、どっちが優先となるのか迷ってた所でした。片側二車線の道路、かつ停止線が奥まった所なので、青信号でヨーイドンなら、自転車の方が先に通り抜けられそうなんですが、何故か先に行かせろとばかりにスピード出して来るんですよね。
コメントありがとうございます。
おそらく優先は規定されなくても、注意義務の大小は明らかだからあまり関係ないのかもしれません。