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過失相殺は安全とは必ずしも関係しない。

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横断歩道で歩行者がはねられる事故報道が頻繁にありますが、交差点の4方向のうち1方向にしか横断歩道がない交差点ってありますよね。

これについて、車両側の視点から考えてみたいと思う。

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車両側の視点からみた交差点

この状況を整理すると、歩行者についてはこのようになる。

歩行者の問題 備考
問題なし
付近の横断歩道を使わなかった
直前横断じゃなければ問題なし 「付近に横断歩道がある場合」には当たらない

③については、「付近に横断歩道がある場合」には当てはまらないというのが解釈。

横断歩道がすぐ近くにあるのに、「横断歩道の付近」に当たらない特殊なケースとは!?
横断歩道もあるのに、なんちゅうスピードを出していたのですかね?事故現場はこちら。報道映像を見る限りでは、このあたりを横断していたのかなと思ってしまいますが、詳しい状況はわからないので事故の解説みたいなのはしません。ほとんど知られていない道路...

横断歩道ではない以上、直前横断は禁止ですが。
これらを踏まえて車両側の視点で「事故回避可能性」を検討します。

優先道路(交差点内にセンターライン)もなく、ほとんどの交差点は「左右の見通しがきかない交差点」なので徐行義務があり(42条1号)、横断歩道に接近する際には減速接近義務(38条1項前段)があることを考えると、

歩行者が①~③のどこを横断したとしても、歩行者が全力疾走してきたようなおかしな状況以外では事故は回避可能と考えられる。
このあたりは交差点の死角がどれだけあるかにも左右されますが、一般的な交差点であれば歩行者が①~③のどこを横断したとしても、車両側の注意義務は変わらないとも言えますよね。

 

ところが、「過失相殺」という民事の概念を重視すると、②を「横断歩道付近なのに横断歩道外横断した」として過失相殺を主張したり、③についても同様の主張をする。
けど、車両側の注意義務からすると、

どこを横断したとしても、注意義務を果たしていればよほどおかしな状況でない限りは事故に至らない。
過失相殺って自分の非を打ち消すように勘違いしがちですが、よくよく考えればこのように優先道路がない交差点なら歩行者がどこを横断しても大差ないのよね。

 

そう思いません?

車両の停止位置

ところで、横断歩道に対する車両の停止位置はどちらが正解なのか?という話がありますが、

これですが、警察庁の「交通規制基準」で停止線は横断歩道から1~5mとされていることや、

舗装された道路に横断歩道を設置する場合は、原則として、横断歩道(交差点の流出部等にある場合を除く。)の1~5メートル手前に、停止線を設置すること。

38条2項(横断歩道直前に停止車両があるときの側方通過一時停止)が「おおよそ5m」と解釈されていること等を考えると、

横断歩道と停止線が離れている場合の停止位置。
以前、このように停止線と横断歩道が離れている場合の「停止位置」(38条1項後段)について、XとYどちらが正解か?と書いた。原則的にはYですが、Xで一時停止したとして間違いとは言えない。なぜなら本来の停止位置より前で一時停止することを禁止する...

基本的にはBでかまわない。
ただし、横断歩道5mより手前で一時停止しちゃいけないという決まりもないので、Aで一時停止することが間違いとも言えない。

 

じゃあどちらが望ましいか?という話になりますが、Aで一時停止すると交差道路の右左折車両が「譲ってくれた」と勘違いして注意散漫な右左折をし事故リスクが上がる。

「譲ってくれてありがとう!」と勘違いした運転者が、ムダに挨拶して歩行者を見逃すのよ…
なので、Bが望ましい。

とはいえケースバイケースな面もあるので、必ずBが望ましいかは別問題になりますが、状況みて判断するしかないのよね。

このように注意義務を果たしていれば、よほどおかしな横断をしない限り①~③のどこを横断しても事故に至らないと思われますが、過失相殺の主張って「相手の落ち度を追及して自分の落ち度を相殺したい」わけですよね。
民事は確かに過失相殺という概念がありますが、刑事では「相手の法が悪いから無罪」なんて仕組みはなく、注意義務を果たしていれば事故を回避可能だったか?が問題になる。
過失相殺論も必要ですが、必ずしも事故防止や反省につながるわけではないのよね。

 

もちろん、だからといって歩行者が何をやってもいい…みたいな話ではないのですが。

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