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ロードバイクの事故と責任。

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こちらに関係してメールを頂いたのですが、

2人からメールを頂き、1人には返信エラーが出てしまうのでこの場でお伝えしておきます。

 

で。
綾人サロンがいう「ひき逃げ(救護義務違反)」については何ら異論はありませんし、ロードバイクの責任については言うまでもない。
読者様から「ロードバイクが逆走した理由は、対向車がセンターラインを越えてきたことから回避しようとしたのではないか?」とご意見を頂きまして。
つまり

下り坂でスピード出しすぎていたことから、対向車がセンターラインを越えてきたことに対する対処を誤り、対向車が逆走してきたと勘違いして緊急回避しようとした結果、ロードバイクが逆走したみたいな話。

 

動画をスローにして確認しましたが、正直なところよくわかりませんでした(最初から逆走していたようにも見えるけどよくわからない)。
ただまあ、仮にそうだとしても下り坂の見通しが悪い曲がり角でスピードを出すことに問題があるわけで(道路交通法42条2号参照)、十分減速していたなら逆走することにはならないかと。

 

「事故の原因」と「事故後の措置(救護義務)」は別問題なので、後者については直ちに停止して負傷の確認が必要です。

 

で、似たような事例を最近取り上げたばかりなので「仮に」対向車がセンターラインを越えてきたことから緊急回避しようとして逆走したというシナリオで民事責任を考えます。

見通しが悪い曲がり角&下り坂でスピードを出しすぎていたことが原因と思うし、仮に十分減速していたなら「対向車のセンターライン越え」に対処するために逆走する選択にはならないと思いますが、

 

民事責任上、センターラインを越えてきたクルマにも賠償責任が生じる可能性があります。
以前取り上げたこちら。

歩行者を追い越すために右側通行は認められているか?
ではこちらの続き。法的な問題先に法律から説明します。歩行者を追い越すために右側通行してもいいとする条文は道路交通法にはない。(通行区分)第十七条5 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下...

道路交通法上は、歩行者を追い越すためにセンターラインを越えてよいとする規定はない(17条5項各号参照)。

歩行者を追い越すためにセンターラインを越えてよいとする規定はありませんが、現実的には「見通しがよい」&「対向車とのリスクがないなら」問題にはならないでしょう。
それは17条5項4号で車両を追い越す場合について

当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限る

としている趣旨からもうかがえる。
車両を追い越す場合に右側通行する距離と、歩行者を追い越す場合に右側通行する距離を比較すると、対歩行者のほうが右側通行距離が短いことも根拠の1つになる。

で。
そうすると、今回のように見通しが悪い曲がり角手前では歩行者を追い越す場合としてもセンターライン越えは許されないわけで、それがロードバイクの逆走を招いた誘因だと評価された場合、クルマも賠償責任を負うリスクがあるのよね。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずるただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない

以前取り上げたけど、自賠法の規定は立証責任を逆転させている。
通常の賠償請求は被害者が加害者の過失を立証する必要があるところ、自賠法は逆で「加害者が無過失の証明をしない限り賠償責任を負う」。
クルマがセンターラインを越えたことが誘因だと評価された場合、被害者はセンターラインを越えたクルマに対し損害賠償請求することもありうる。
クルマの場合は自賠責保険(強制保険)があることも一因。

 

いやさ、これを書いたときにあえて「見通しがよく対向車リスクがない場合」に限定して解説したわけですが、

歩行者を追い越すために右側通行は認められているか?
ではこちらの続き。法的な問題先に法律から説明します。歩行者を追い越すために右側通行してもいいとする条文は道路交通法にはない。(通行区分)第十七条5 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下...

そういうこと。

 

ただし今回の事案、事故に至る前のロードバイクの挙動がわからないのと、仮に上で書いたような態様だとしてもロードバイクの責任は変わらないので、誰が悪いか?ではなく「何をすべきだったか?」を論じない限りは同じ間違いが起きる。

 

ロードバイクは見通しが悪い下り坂で十分減速すべきだった(左側通行をするのは当たり前)。

クルマはこのように先が十分見通せない場面で歩行者を追い越すためとはいえ、センターラインを越えるべきではなかった。

 

ワケわからんところから賠償責任に繋がることがありうることは知っておいたほうがいいかと。
というよりも仮に「上で書いた態様」で起きた事故の時に、自転車が保険に入ってなく回収見込みが薄いなら、あえてクルマを提訴することはあるのよ。
なぜなら、自賠法3条は「無過失を主張するならクルマが無過失を証明せよ。無過失の証明がないならカネを払え」としているため、被害者からすれば過失立証の負担が大幅に軽減されるのね。
以前取り上げたこれにしても、

誰に損害賠償請求するか?
先日のこちら。イマイチ分かりにくいといくつか質問を頂いたのですが、要はこれ誰に損害賠償請求するか?の問題と、損害賠償請求した際の立証責任は誰にあるかの問題でして。誰に損害賠償請求するか?対向車が居眠り状態に陥り、センターラインを50センチ(...

どこかのYouTuberが判決の意味を全く理解してない解説をしていたけど、自賠法の概念の問題なんよ。

 

なおいかなる態様だろうと、接触した以上は「直ちに停止し確認」することは必須です。

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