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緊急車両が接近してきたときに、自転車は横断してはならない。

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こちらについてですが、

どうにもおかしな解釈をしたがる人がいるけど、この場合、自転車は一時停止して緊急車両が優先になります。

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自転車は緊急車両に譲る義務がある

要はこれ。

(緊急自動車の優先)
第四十条 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない

「道路の左側に寄って一時停止」とありますが、この場合の道路とは車道の部分を意味する(17条4項カッコ書き)。

道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)

横断歩道は歩道ではなく(2条1項2号、同4号)、歩車道の区別がある道路においては車道にあるのは明らか。
要は歩道から車道に進出した時点で自転車には40条による規制が掛かりますが、「横断」という行為は車道の左側から右側に移動することになる。
なので「車道の左側に寄って一時停止」することになるのだから、横断開始しちゃダメなのよね。

 

これはたまたま自転車だから一瞬分かりにくいけど、路外のコンビニから車道に進出しようとするクルマがいても同じこと。
交差点以外であれば「左側に寄って譲れ」(40条2項)だし、交差点(付近含む)であれば「交差点を避け左側に寄って一時停止」(40条1項)。
さらに「正常な交通を妨害するおそれがあるときは横断等禁止」(25条の2第1項)もあるのだから、

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

緊急車両が接近してきたなら、歩道から車道に進出すること自体が禁止されていることになる。

38条?

ワケわからん意見をいう人は「横断歩道を横断しようとする自転車がいても38条で自転車優先だろ!」みたいな間違った見解をいう。

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。横断歩道と自転車の関係をメインにします。○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。○横断歩道を横断しようとする自転車には3...

警察庁も裁判所もそのような見解はしてないんだけどな。
ちなみに比較的最近の判例ですが、京都地裁が解釈を間違えた件について、大阪高裁は是正。

自転車が「横断歩道上」で事故に遭った事例と、過失割合。
以前も書いてますが、自転車に乗っていて横断歩道上で事故に遭った場合、交差点の事故における過失割合をベースに検討されるのが普通。なので「横断歩道上での事故」であっても、信号交差点の右左折巻き込みタイプと、優先道路/非優先道路のタイプでは過失割...

ちなみにこの動画の場合、緊急車両には「38条2項」の義務もない。
なぜなら39条2項の規定により、緊急車両は一時停止義務から免除されるため。

(緊急自動車の通行区分等)
第三十九条
2 緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない。

ただしこの動画、緊急車両はもうちょい慎重な速度のほうがよいと思う。
「横断歩道を横断する自転車も優先」という誤った概念の弊害って、こういう場面に現れるのよ。
要は「自転車には優先権がないけど(38条の対象外)、車道通行車両は事故を起こしてはダメ(70条)」なわけですが、優先だと勘違いしていると緊急車両の場合には支離滅裂になる。

 

そもそもこの記事。

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。横断歩道と自転車の関係をメインにします。○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。○横断歩道を横断しようとする自転車には3...

かなりの判例を取り上げてますが、全て総合して捉えればこうなのよ。

 

「自転車には優先権がないけど、車道通行車両が事故を起こしたら負け」

 

民事刑事ともにいくつか判例を取り上げてますが、ある意味分かりやすいのは東京地裁 平成21年3月3日(民事)。

被告は、被告車を運転して横断歩道の設置された本件交差点を右折するに当たっては、前方及び側方の条件に十分注意した上で、進路の前方を通過しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない義務がある(道路交通法38条1項前段参照)にもかかわらずこれを怠り、漠然と右折したために、横断歩道上を進行していた原告自転車を発見するのが遅れ、原告自転車との衝突を回避することができず、本件事故を惹起した過失があるというべきである(なお、原告は、被告に道路交通法38条1項後段の規定する横断歩道の直前での一時停止義務がある旨主張するが、本件交差点に自転車横断帯は設置されていないことに加え、原告は自転車から降りて押して歩いていたものではないことに鑑みると、被告に上記義務は生じないものと解される。)。

 

東京地裁 平成21年3月3日

歩行者がいないことが明らかとは言えないから減速接近義務があり、後段の一時停止義務はないにせよ、減速接近して注視していたら回避できたことを指摘。
これは過失運転致死傷判例も同じ理屈なのよね。

自転車は緊急車両がきたらきちんと譲りましょう。

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