こちらの記事。

宮田浩介氏は原付の重量が80キロ程度であり、スピードも簡単に30キロを越える点を挙げ「自転車と原付は他害性が違うのだから、原付と同じ反則金は公正さを欠く」という主張をしてますが、

これは宮田浩介氏の藁人形論法。
原付とは一般原付と特定小型原付があり、両者はともに「原付」として同じ反則金が科されているところ、
一般原付のみを切り抜きして比較すること自体が「公正さを欠く主張」なのよね。
なんでこの人はこのような「前提のすり替え」をするのか謎すぎるんだけど、
みんな大嫌いLUUPは特定小型原付ですが、車重は25キロ、最高速度はリミッターにより時速20キロに制限されている。
車重30キロ、時速24キロまでアシストされる電動アシスト自転車と他害性は大差ない。
※投げ捨てられた私の電動アシスト自転車。30キロはある電動自転車をわざわざ移動させて投げ飛ばした人がいますが、投げ飛ばした人の労力を鑑みるとつらい思いをしたのは誰なんだろうw
参考までにパナソニックの電動アシスト自転車ビビ・EX26インチは28.6kg。
そもそも一般原付に該当するフル電動自転車でも、電動アシスト自転車と同レベルな重量と速度のものもありますが(下記モデルは重量23キロ、最高速度25キロ)、

反則金の設定は一般原付そのものなのでして。
宮田浩介氏が語る「重量と速度による他害性の差」という理論は、原付=一般原付とすり替えている時点で前提誤認しているし、一般原付といってもその中身はわりと多種多様なのよね。
それらについて重量別に反則金を設定したとすると実務上混乱と取り締まりの煩雑さを生むから、一律「原付」として反則金を設定しているのでして。
青切符とは本来検察送致して裁判所で審理するものを、簡便な処理方法として例外的に創設した趣旨からしても、一般原付と特定小型原付を同じ反則金に設定したのは妥当でしょう。
けどなんで宮田浩介氏は、このようなすり替え論法を使うのだろうか?
この界隈の人がしばしば使うすり替え論法について不思議に思ってまして、例えばこれ。
自転車で赤切符(免停)!? とある主婦のツイート話題 なぜ「アウト」かhttps://t.co/gHjxpHNtym
自転車に乗っている時に従うべき信号機がどれか、子供や外国人でも分かるように専用信号機があれば、あのような不条理に厳しい取り締まりを受けずに済んだのでは思うと気の毒でなりません。 https://t.co/fmXRzKAqVF
— ろぜつ@自転車 (@rzt_ashr) November 20, 2021
信号無視が赤切符の原因という前提にしているけど、この人が赤切符になった理由は違う。
さらに言うと、車道を渡ったとこ横断歩道を渡っていた作業着のおじさんの通行を妨げたというのである。おっと、という感じに、すこし足を止めた、とのことだった。
信号無視と、歩行者妨害。
2つ重なってしまうと、さすがに見過ごすことができない、とのことだった。おっさん!!!😂
— あしゃ (@asami2692) November 17, 2021
単に従うべき信号を間違えた程度で赤切符になるわけもなくて、横断歩行者妨害までしたから仕方なく「信号遵守義務違反罪(道路交通法7条)」として切符を切っただけのこと。
なんで「従うべき信号を間違えたこと」=「赤切符」という事実誤認を元に批評するのか理解に苦しむ。
ところで、「一般原付と自転車では重量や速度の差から他害性が違うから、同じ反則金は公正さを欠く」という主張をするならば、特定小型原付が一般原付と同じ反則金になったときにも「一般原付と特定小型原付では重量や速度が違うのだから公正さを欠く」という批判をしてしかるべきと考えられますが、
反則金の設定って、安すぎると罰則感が薄れ、高すぎると支払い拒否が増える。
支払い拒否が増えると検察送致から裁判所の管轄に変わってしまうのだから、青切符制度創設の目的と合致しない。
原付(一般原付+特定小型原付)に設定している反則金の額は、そのバランスの中で最低ラインなんだろうなと察する。
それよりも問題なのは、宮田浩介氏にしても「違反=青切符」というありもしない前提を強調するところ。

国家公安委員会委員長記者会見要旨
令和5年12月26日(火)11:02~11:09
問 自転車運転の青切符を盛り込んだ報告書が国家公安委員にも報告されたと思います。そこでお伺いしたいのは今後の教育の問題です。特定小型原付でも具体的な教育があまりなされている様子がなくて、今後、警察庁だけではなくて文科省とか総務省とも連携しなければならないと思います。閣僚としてどのように働きかけるおつもりかお願いします。
答 まずご指摘の自転車につきましては、近年、対歩行者との事故が増加傾向にあるとこういうふうにまず認識をしております。そのことを踏まえまして、警察庁においては、本年の8月以降、有識者検討会を開催してきたところでございます。お尋ねのとおり、このたび、有識者検討会においては、安全教育、違反の処理、交通規制の3点に関して、今後の取組の方向性について提言をする中間報告書が取りまとめられ、提言いただいたところでございます。
このうち、交通安全教育につきましては、官民の知見により、それぞれの年齢層、ライフステージに応じた安全教育に係るガイドラインの策定をいたしまして、安全教育の質の担保をすることが提案されているところでございます。これを実現するためには、教育現場や自治体との連携が非常に重要であるため、関係省庁に対して必要な働き掛けを行っていくよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。
そのようにしっかりと連携をいたしまして、やってまいりたいと思っておりますが、違反の処理につきましては、自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度の対象とすることが提言をされておりますが、制度の運用に当たっては、指導警告をまず原則といたします。これに従わないなどの特に悪質、あるいは危険な違反に限っては青切符による取締りを行うことにより、目的である違反者の行動改善を促すこと、こういった取組をしっかりとやってまいりたいと考えております。問 取締りについては、まず切符を切るということではないということですね。
答 申し上げたとおり、まずはやはり指導警告これを原則といたしておりますので、報道等では即青切符というイメージが残っておりますが、やはり交通ルールを守っていただき、結果的に事故が起こらないことが私どもの目的でございますから、その点については、申し上げたとおりでございます。
国家公安委員会委員長記者会見要旨
実効性のある指導警告
運転に免許を必要としない自転車利用者に対して交通ルールを認識させる機会でもあることから、違反者自らの違反行為の危険性や交通ルールを遵守することの重要性について理解できるよう実効性のある指導警告を行う。
取り締まりの推進
警察官の警告に従わずに違反行為を継続したときや、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたときなどには、積極的に取締りを行う。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf
こういう人は前提をすり替えて社会の不安を煽っているだけにしか見えないし、その結果、自転車ユーザーが減るリスクがあるのだから、こういう事実誤認のすり替え論法を使うのは理解し難いのよね。
何をしたいの、この人は。
誤りを前提に社会不安を煽っているようにしか見えない。
そもそも
自転車青切符パブリックコメントを出そう(5/25 0:00まで)16歳以上の自転車利用を対象にした交通反則通告制度(いわゆる「青切符」制度)が来春4月1日から施行される。これ…
「固定ギアの自転車では脚を踏ん張ることで制動作用が生じる」というのはいわゆるピストバイクのことですが、下り坂で惰性がついた状態で、これによる制動作用を発揮なんてムリな話。
実現不可能に近い前提で話を進めるのはいかがなものか。
前後に制動装置を求める理由の一つに、仮に片側が故障した場合の「最低限のバックアップ」を含むのは言うまでもないけど、いくらなんでも視野が狭いのではなかろうか。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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