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優先道路とは「優先権がある道路」ではない。

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道路交通ネタはガセネタが横行するのがもはや日常なんだと思ってみてますが、ちょっと前には「歩道があるときには75センチ以上開けて駐停車するのがルールだ」というガセネタが誕生しましたよね。

車両の左側と歩道等との間に「75cm以上の間隔」を空けることが求められているんです!
これはいったい…車両の駐車・停車の方法を定めた道路交通法47条では、確かに「道路の左側端に沿い」駐車することと定められているが、同時に「他の交通の妨害とならないように」という条件も付されている。ここで言う「他の交通」とは車のことだけではなく...

今回はガセネタ指数高めの「優先道路」の話らしい。

優先道路とは、法的に「信号機のない交差点などで走行を優先順位が高い道路」のこと。道路交通法36条第2項では、「道路標識等によって優先道路と指定されている道路」か「道路標識等で中央線点車両通行帯が設けられている道路」と定義されています。

狭路より2倍以上広い道の場合は、もちろん広い道を走行しているほうが優先。たいていの狭路には「一時停止」の指示があります。そういった標識がない場合は、道幅の広いほうが優先されるのが一般的となっています。

分かりにくいのが、どちらにも標識がなく、道幅が同等の場合は左側が優先となること。

これも道路交通法36条内に「車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない」と明記されており、さらに左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車が優先される、となっています。

またT字路の場合は、原則的に直線が優先とされています。

すべてのドライバーが交通ルールを遵守していれば事故やトラブルは起きないはずですが、実際には一時停止せずに脇道から優先道路に進入するケースは多く、いわゆる出会い頭の事故が発生しがちです。

「優先道路を走行してたら、わき道から飛び出してきた車にぶつけられました!」 相手の方が100%悪いのに…私にも過失が発生するって納得できません! 一体どうなってるの?
「優先道路」を走行中、一時停止をせずに飛び出してきたクルマとの接触事故。法的には相手側の違反なのですが、ぶつけられた方も走行中の場合は過失が発生します。優先なのに過失があるとはどういうことなのでしょうか。

優先道路の解説がおかしい。

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優先道路の解説がおかしい

優先道路の定義(36条2項)はこれ。

優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)

優先道路とは「当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路」と規定されており、道路標識等により指定する場合すなわち優先道路となる道路の交差点の手前の地点に「優先道路」の指示標識を設置し、併せてこの道路と交差する道路の交差点の手前に、「前方優先道路・一時停止」の標識を設置して指定するものと、中央線又は車両通行帯境界線が交差点の中まで連続して設けられていることによって直ちに優先道路としての取り扱いを受けるもの、との二つがある。

交通法令実務研究会、「逐条道路交通法」、警察時報社、昭和62年

道路標示(中央線または車両通行帯境界線)による優先道路は、交差点の中まで中央線等が表示されている道路のことをいい

東京地方検察庁交通部研究会、「最新道路交通法事典」、東京法令出版、1974

この記事で取り上げている画像は「優先道路がない交差点」なのよ。

「優先道路を走行してたら、わき道から飛び出してきた車にぶつけられました!」 相手の方が100%悪いのに…私にも過失が発生するって納得できません! 一体どうなってるの?
「優先道路」を走行中、一時停止をせずに飛び出してきたクルマとの接触事故。法的には相手側の違反なのですが、ぶつけられた方も走行中の場合は過失が発生します。優先なのに過失があるとはどういうことなのでしょうか。

例えば明らかに広い道路でも交差点内にセンターラインか車両通行帯の線がなければ「優先道路がない交差点」になる。

優先道路がない交差点でも、明らかに広い道路は狭い道路より優先権があるにせよ、左右の見通しがきかない交差点なら徐行義務があり、徐行義務を怠るから過失がつくのよ…

(徐行すべき場所)
第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。

優先道路とは「交差点内にセンターラインか車両通行帯がある場合」だと定義しているのだから、交差点内にセンターラインも車両通行帯もない道路は優先権があっても優先道路にはならない。
そして徐行義務の除外は「優先道路を通行している場合」としているのだから、交差点内にセンターラインも車両通行帯もないなら徐行義務を免れないのよね。

◯優先道路

◯非優先道路

 

下記のように一時停止規制があっても、非一時停止規制側には「交差点内にセンターラインがない」ので優先道路とは言わない(ただし結果的に優先権は非一時停止側にある)。

具体例はこれ。

交差点内にセンターラインがないので「優先道路がない交差点」になり、左右の見通しがきかない交差点なので撮影車は徐行義務を負う。
それは交差道路に一時停止規制があっても変わらない。

 

ではホンモノの優先道路(交差点内にセンターラインあり)の場合。
優先道路通行車は徐行義務がありませんが、優先道路通行車が無過失になるかというと、

原則としては四輪車同士で優先道路:非優先道路=10:90です。
なぜ優先道路通行車に10%の基本過失割合が設定されているかというと、多くの事故では優先道路通行車にも軽度の前方不注視や速度超過が見られるからです。

 

ただし優先道路通行車に何らの回避可能性がなかったとして無過失を認定した判例も複数ある。

優先道路vs非優先道路。優先道路通行車が無過失になることはあるのか?
優先道路通行車と非優先道路通行車が交差点で衝突した場合、基本過失割合はこうなります(ともに4輪車の場合)。優先道路通行車非優先道路通行車1090優先道路を進行する上では見通しが悪い交差点でも徐行義務はなく(42条1号カッコ書き)、通常レベル...

軽度の不注意が認められることが多いから基本過失割合として10%設定されてますが、不注意がなかったと認められるケースでは無過失になる。

 

また、優先道路通行車が著しい高速度の場合には、基本過失割合の適用はありません。
これもほとんど知られていない。

優先道路通行車が114キロで直進。非優先道路通行車と衝突した場合の過失割合。
優先道路通行車と非優先道路通行車が衝突した場合、基本過失割合はこうなる。優先道路通行車非優先道路通行車1090ところで、優先道路通行車が著しい高速度で直進してきた場合、どうなるのでしょうか?優先道路通行車が著しい高速度で直進判例は名古屋地裁...

これらをまとめるとこうなる。

 

優先道路とは「交差点内にセンターラインか車両通行帯の線がある道路」であり、「明らかに広い」や「左方優先」は優先道路ではない
・「優先権があるけど優先道路ではない」場合、左右の見通しがきかない交差点なら徐行義務がある。
・記事はいろいろごちゃ混ぜになっていて支離滅裂です。

道路交通法はガセネタの宝庫

インターネット上にある道路交通法の解説なんてガセネタがわりとあるのが実情でして、運転レベル向上委員会はガセネタが頻発してますが

横断歩道直前で左折する車両に「道路交通法38条1項の一時停止義務」があるか?
こちらの答え合わせになります。当該動画では、横断歩道を通過せず横断歩道直前で左折する車両にも、横断歩道を横断しようとする歩行者がいたら一時停止義務があると解説してますが、ちゃんと読めばわかるように、一時停止義務はありません。横断歩道を通過し...
自転車レーンがある場合の左折方法。交差点の左折方法がわからないのだからそりゃ事故るのは当然。
読者様から、「これ、合ってますかね?」と質問を頂いたのですが、引用元:運転レベル向上委員会シンプルに間違ってます。これは進行方向別通行区分(指定通行区分)の有無で話が変わりますが、動画中では指定通行区分(左折レーン)が存在する場合の説明なの...
交差点内は駐停車禁止だから、クラクション鳴らして横断歩行者を蹴散らせ!
この人ってマジで語っているのか、ネタなのかわからないけど要約すると、「交差点内は駐停車禁止だから止まることができず、クラクション鳴らして蹴散らせ!」という恐ろしい主張をしてますが…交差点内は「法令の規定」(38条1項)や「危険を防止するため...
幼児等通行妨害禁止とは…
なんかまたおかしな解説をしてますが、幼児等通行妨害禁止規定(71条2号)。運転レベル向上委員会より関係ない部分を省略します。(運転者の遵守事項)第七十一条二 監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して...
「お前は何様か!」…白バイが速度超過していい根拠はありません…
こちらについて。下記記事について「検察の主張は誤り」と書きましたが、これを書くと抗議してくる方が。検察は、白バイの速度118キロについて、警ら中であり、法律上は問題ないとしているものの、通達を20キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バ...

これらから言えるのは、インターネット上の情報なんてあてにならない上に、人間はカジュアルに間違えるものなのよね。
なので間違えないように努力することが大事なんだけど、間違えたときには速やかに撤回して訂正することが大事。

 

県警本部レベルでも信号の意味を間違えるのが現実だし、

やはり「路側帯通行自転車も信号無視」でした…
こちらの件。南海放送の内容については明らかな間違いと考えられますが、これ、コメントが削除されていたわけではなくて、南海放送バージョンと日テレバージョンがあるだけだった笑ところで、管轄の愛媛県警交通企画課にこの動画の見解を確認したのですが、何...

「歩道の逆走(通行区分)」として切符を切る警察官すらいますから…

間違って「歩道逆走違反」で切符を切る警察。違反は取消に。
ちょっと前に読者様からこんなお話を頂きました。奥様が警察から「自転車の歩道逆走違反」としてイエローカード(指導警告票)を受けたとか。当たり前ですが抗議した結果、取消になったそうです。自転車の歩道逆走違反は取消に下記の一件ですが一応解決しまし...

これらをみても人間は間違える生き物なんだと痛感しますが、「路側帯の信号規制」や「歩道逆走違反」については、きちんと根拠を提示して再考を促せば撤回し訂正される。
警察さんですら撤回して訂正するのに、メディアやYouTuberは撤回も訂正もされずに野放し状態だから…

 

民間の情報発信者にはモラルという概念がないのかと疑問に思ってしまいますが、間違えないように十分調べることが大事な上に、間違えたなら速やかに撤回訂正して誤認識を広めたことを自らなんとかしないとまずいのよね。

 

まあ、間違いを指摘されても理解できない人もいるから、そういう人は情報発信者として向いてない気もしますが。
こういう事例を見ていると、結局は反面教師ということでしょうね。

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