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コリジョンコース現象と左右の見通しがきかない交差点での事故の過失割合の話。

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ではこちらの件。

コリジョンコース現象と過失割合の話。
読者様から質問を頂きました。管理人さんの解説記事と運転レベル向上委員会の動画の不整合についてお尋ねします。こちらの記事によると左方優先はあまり重視されてないとし、同幅員交差点(優先道路無し)の事故のメインとなる過失を徐行(42条)だとして左...

優先道路(交差点内にセンターライン等)がない場合の同幅員交差点事故ですが、頂いた質問はこちら。

管理人さんの解説記事と運転レベル向上委員会の動画の不整合についてお尋ねします。

左方優先はあまり重視されてない。
ちょっと前に左方の左折車と右方の直進車の事故について、道路交通法上は左方優先(36条1項1号)ですが、民事過失相殺上は左方優先をほとんど反映してないと書きましたが左方からの左折の場合には、直進の場合とは異なり、他の車両の進路上に進路変更して...

こちらの記事によると左方優先はあまり重視されてないとし、同幅員交差点(優先道路無し)の事故のメインとなる過失を徐行(42条)だとして左方車40%にしています(熊本地裁 昭和63年8月9日、管理人さんの解説だと基本過失割合としている)。
一方運転レベル向上委員会の解説だと、コリジョンコース現象(左右の見通しがいい交差点)の基本過失割合を左方車40%としてました。

徐行義務がない左右の見通しがいい交差点であっても左右の見通しが悪い交差点での事故と同じ過失割合になるのでしたら、徐行義務違反をメインの過失とした熊本地裁判決や基本過失割合の意味がわからないです。

運転レベル向上委員会より引用

見通しが悪い交差点の場合には左方車:右方車=40:60ですが、見通しが良好な交差点では左方車:右方車=30:70になります。

なぜそうなるか?
見通しが悪い交差点に進入しようとする車両には徐行義務(42条1号)がありますが、結局のところ、交差点に進入する直前/進入しない限りは「自車が左方車か右方車かわからない」。

 

つまり事故ってみないと左方車なのか右方車なのかは単なる結果論でして、たまたま左方車だったことを以て優遇するのは相当ではない。
結局のところ、見通しが悪い交差点で左方優先を果たすには徐行してない限りは「単なる偶然」に依存することになるのだから、メインになるのは徐行義務違反のほう。
だからほぼ五分五分の過失割合になる。

 

では見通しがいい交差点の場合どうなのかというと、交差点より何十メートルも手前で自車が左方車なのか右方車なのかはわかるのだから、左方優先を果たすことは容易。
しかし見通しがいいのは左方車からしても同じでして、右方車が減速する気配がなかったとしても見ればわかるのだから、左方車からしても事故回避は容易と言える。
「過失」とは「違反」のことではなく、注意義務違反(予見可能性と回避可能性)なのだから、左方車は減速する気配がない右方車を見て事故発生は容易に予見可能だし回避可能。

 

そもそも左右の見通しがきかない交差点で徐行義務を課す理由は何なのかになりますが、警察庁の書籍では「横断歩道がない交差点での歩行者優先(38条の2)」を担保するために徐行義務を課しているとしている。
昭和46年改正前の42条は「優先道路除外」がなく、左右の見通しがきかない交差点(信号がある場合を除く)は全て徐行としてましたが、複雑な経緯を経て優先道路通行車は除外になった。
要は「横断歩道がない交差点での歩行者優先」や「左方優先」「広路車優先」を履行させるために徐行義務を課しているのであって、徐行義務の目的を理解してないから履行されないのよね。

 

そして左右の見通しがきかない交差点では、左方車と衝突したか、右方車と衝突したか、横断歩行者と衝突したかは「徐行してなかったこと」による結果論に過ぎないのだから、メインの過失は徐行になる。

 

左右の見通しがいい交差点では、自車が左方車なのか右方車なのか、横断する可能性がある歩行者がいるかは交差点より手前で判断できるのでして。
目に見える範囲を判断すれば済む。

 

「どのような義務があるか」だけでなく、「その義務は何のためにあるか」を考えることが大事なのよ。

 


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