以前、片側2車線道路において、自転車で第1車線の真ん中を通行して大騒動を起こした方がいましたが、
この方については、道路交通法上、問題がある走行位置であることが確定しています。

これについては多くの人が違反であることについて納得されたようですが、いまだにご本人においては納得いかないようで、このようなツイートをトップに掲げたままになっています。
いちゃもんつけるなら、せめて第一通行帯の真ん中を走っていたけど、実は公安委員会の指定がされていなかったから違法だとか、さらに第一通行帯の更に左端を走る義務があったとかいう判例でも見つけて教えてくれよ。https://t.co/akQodsjxaX
— おっくん (@okkun_oosaka) August 3, 2021
この方が挙げている記事の内容と、判例について改めてまとめておきます。
記事の中身
この方が挙げている記事から抜粋します。
これ以外の場合は、車道を走行することになりますが、車両通行帯のない1車線道路では左端を通行するルールとなっています。
一方、車両通行帯がある道路では、やや事情が異なってきます。
車両通行帯がある道路では、自転車は一番左側の車線(第一通行帯)を通行しなければならないと、道路交通法で決められています。しかし、1車線道路のように左側端を通行しなければならないとは決められていないのです。
運転中にこのような状況を見かけた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。警視庁の交通相談コーナー担当者は、次のように話します。
「多通行帯道路の場合、第一通行帯で前方の真ん中を走る自転車を追い越したい場合は、右側に車線変更をおこない通常のクルマを追い越す際と同様の手順で追い越します。
しかし、車線変更ができるかは道路の混雑状況にも左右されます。車線変更が難しい場合は、自転車の速度に合わせてついていくしかありません」
車道の真ん中を走る自転車は違反? クルマが安全に追い越すための対処法とは新型コロナ禍で、飲食物の宅配をおこなう自転車をよく見かけるようになりました。軽車両に分類される自転車は車道を基本的に走りますが、クルマと自転車は速度域が違うため、互いに危険を感じる光景を見かけることがあります。車道の真ん中を走っている自転車...
この内容が間違いなのかというと、間違いはありません。
強いて言うなら、@okkun_oosakaが車両通行帯の定義を理解していないことと、記事の内容では不十分という点にあります。
そこでまず、車両通行帯とは何かについて検討します。
車両通行帯の定義と類似構造



車両通行帯とは何か、道路交通法の定義を見ていくね。
まずは車両通行帯の定義から。
道路交通法では、2条1項7号でこのように定義されています。
車両通行帯は、車両通行帯の道路標示で示された部分となっています。
道路標示の定義は同じく2条1項16号にあります。
規制または指示をする表示となっています。
道路標示は、標識令で定めることとなっている。
第四条
5 道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める。
道路標示には規制標示と指示標示があることとなっているのですが(2条1項16号)、道路標示の具体例については標識令で定めてある。
第八条 道路標示の分類は、規制標示及び指示標示とする。
ここからがポイントなのですが、「交通規制」をすることができるのは、道路交通法では公安委員会だけなのです。
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。
2 前項の規定による交通の規制は、区域、道路の区間又は場所を定めて行なう。この場合において、その規制は、対象を限定し、又は適用される日若しくは時間を限定して行なうことができる。
政令というのは、道路交通法施行令。
施行令ではこのようになっています。
第一条の二
4 法第四条第一項の規定により公安委員会が車両通行帯を設けるときは、次の各号に定めるところによるものとする。
一 道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に二以上の車両通行帯を設けること。
二 歩道と車道の区別のない道路(歩行者の通行の用に供しない道路を除く。)に車両通行帯を設けるときは、その道路の左側端寄りの車両通行帯の左側に一メートル以上の幅員を有する路側帯を設けること。ただし、歩行者の通行が著しく少ない道路にあつては、路側帯の幅員を〇・五メートル以上一メートル未満とすることができる。
三 車両通行帯の幅員は、三メートル以上(道路及び交通の状況により特に必要があると認められるとき、又は道路の状況によりやむを得ないときは、一メートル以上三メートル未満)とすること。
この規定はそこまで大きな意味を持ちませんが、車両通行帯を作るときの基準を示していることが理解できます。
さて、標識令では車両通行帯の道路標示をこのようにしています。
(別表第9)
規制標示
種類 | 番号 | 標示 | 表示する意味 |
車両通行帯 | 109 | ![]() |
交通法第二条第一項第七号に規定する車両通行帯であること。 |
標識令では、車両通行帯は規制標示であるとしている。
交通規制は公安委員会しかできないので、車両通行帯というのは公安委員会が決定したものであると理解できます。
さて、ここで問題が勃発します。
車両通行帯の道路標示とほぼ同じものが、標識令にあります。
区画線
種類 | 番号 | 標示 | 表示する意味 |
車線境界線 | 102 | ![]() |
四車線以上の車道の区間内の車線の境界線を示す必要がある区間の車線の境界 |
※4車線というのは片側2車線と同義。
車道境界線の場合、区画線(もしくは指示標示)であって、規制効力はない。
なので車両通行帯というのは、公安委員会が意思決定した複数車線道路のみを指し、公安委員会が意思決定していない複数車線道路は「車両通行帯が無い道路」になる。
<複数車線道路の場合>
道路標示 | 道交法の意味 | 通行方法のルール | |
公安委員会が作る場合 | 車両通行帯(109) | 規制標示 | 20条1項 |
道路管理者が作る場合 | 車線境界線(102) | 区画線 | 18条1項 |
ここまでで理解できるように、公安委員会以外には車両通行帯(109)を作る権限がありません。
従って、「公安委員会の決定が無い車両通行帯」というものも、道路交通法上では存在しません。

複数車線あっても、それが車両通行帯かどうかは分からないということなんですね!

公安委員会が車両通行帯にするという意思決定をした道路だけが、道路交通法では車両通行帯なんだよ。

これについては最高裁判例も出ています。
さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。
最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日
最高裁も認めているように、道路交通法の車両通行帯というのは、公安委員会の意思決定が必要になります。
公安委員会が「車両通行帯にする」という意思決定が無い道路は、「車両通行帯が無い道路」となる。
公安委員会の意思決定内容は、このように文書で保管されています。
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/koukaihou/fukuikenpou/kenpour0303_d/fil/006.pdf
さらに続けます。
道路交通法では、車両通行帯があるかないかで通行方法が異なります。
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。
つまり複数車線あっても、自転車の通行位置は違う。
自転車の通行位置 | 条文 | |
車両通行帯 | 第1通行帯の中 | 20条1項 |
車線境界線 | 車道の左側端 | 18条1項 |
車両通行帯はあくまでも交通規制であって、18条1項とは異なる通行方法になる。
規制は公安委員会以外は出来ない、というのがポイント。


@okkun_oosakaが第1車線のど真ん中を通行していた道路はこちらです。
片側2車線道路です。
管轄署の交通規制課にも確認しましたが、この道路は交差点手前の進行方向別通行区分(+進路変更禁止のイエローライン)があるところ(おおよそ30m)だけが車両通行帯で、それ以外は車両通行帯では無いそうです。
@okkun_oosakaは、交差点手前の車両通行帯ではない道路においても、第1車線のど真ん中を走っていたので、18条1項の違反になるわけです。
これについては、著名な道交法の解説書でもこのように記されています。
車両通行帯は、公安委員会が本条1項の規定により車両通行帯とすることの意思決定を行い、標識令に規定する規制標示「車両通行帯」(109)を設置して行わなければならない(警察署長にはこの権限がない。)。したがって、右要件を欠く単なる白色の線で区切っただけでは車両通行帯とはならない。
また、道路管理者が設ける車線境界線は、外観が公安委員会の設ける車両通行帯境界線と同一であるが、標識令において車両通行帯とみなすこととされていないため、この法律上、これらの車線境界線のある道路は、外観が車両通行帯境界線と同一であっても、法第18条の車両通行帯の設けられていない道路における通行区分(キープレフト)に従うことになる(警視庁道交法)。したがって、実際上において混乱をさけるため、道路管理者と公安委員会の事前の協議が必要であると考えられる。
なお、公安委員会が車両通行帯を設けるときは、令第1条の2第4項に定める次の事項を遵守しなければならないことになっている。
野下文生、道路交通執務研究会、執務資料道路交通法解説(2018)、p209-210、東京法令出版

@okkun_oosakaが挙げている記事は、「車両通行帯ではない複数車線道路」の説明がないということだよね!
そして@okkun_oosakaは、複数車線あれば車両通行帯と思い込んでいるということ?

記事も間違っていないけど、不十分な説明な上に@okkun_oosakaがちゃんと読めていないだけのこと。
左側端通行義務


18条1項では、自転車は左側端、車やオートバイは自転車の通行分を空けた上で左側に寄ることとなっています。
18条1項の規定は、昭和39年にジュネーブ条約に加盟したことで誕生したルールです。
以上のルールは、道路上を対向する車両同士の進路を分け、かつ、道路の中央部分を空けておくことで、①対向車同士の擦れ違いを円滑にし、②同一方向に進行する車両同士の追越しを容易にしようとするものである。
(中略)
「キープレフト」の原則を定めた条約9条第2項(b)に対応するためには、旧第19条及び第20条を廃止し車両通行帯の設けられた道路における通行区分を定める本法第20条第1項本文の規定を置けば足りるわけだが、そもそも道路の中央部分を追越しのために空けておくという「キープレフト」の考え方は、通行帯の設けられた道路に限らず、およそ道路一般に適用される普遍的な思想であったので、車両通行帯の設けられていない道路における「キープレフト」についても、旧第19条を改正する形で第18条の左側寄り通行の規定を置いたのである。
道路交通法研究会 注解道路交通法【第5版】、立花書房
遅い車両(=自転車)は左側端にすることで、右側からの追越しを促すというのが立法経緯。
さて道路交通法での車道というのは、このような定義になっています。
縁石、柵等の工作物か、道路標示によって示された部分となっています。
車道外側線ってあるじゃないですか。
車道外側線は、標識令によると区画線(5条、別表第3)になっていて、道路標示ではありません。
そのため、車道外側線は道路交通法では、何ら意味を持たないお絵描きみたいなもの。
道路法と道路交通法では、車道の定義と範囲が異なります。
法律 | 趣旨 |
道路交通法 | 通行に関するルール |
道路法(道路構造令) | 道路の作り方や管理についての法律 |
※以下、歩道がある前提で書きます。
条文 | 意味 | |
道交法の車道 | 車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分(2条1項3号) | 車両通行帯が無い道路では歩道の縁石まで。車両通行帯がある道路では車両通行帯最外側線まで。 |
構造令の車道 | 専ら車両の通行の用に供することを目的とする道路の部分(自転車道を除く。)(2条4号) | 車道外側線まで |
車道の範囲は、歩道の縁石までになります。
18条1項では車道の左側端に寄ることを求めているので、車道外側線は関係なく車道の左端を通行する義務があります。
ですが路肩のエプロン部については通行に適さない路肩なので、エプロン部を除いた車道の左端になる。

@okkun_oosakaが通行していた道路を確認します。
車道外側線の外側には自転車ナビラインがありますが、通行に適さない路肩のエプロン部を除いて車道の左側端に寄るとなると、おおよそ自転車ナビラインがあるあたりとなります。
18条1項の立法趣旨は、遅い車両は左端に寄ることで右側からの追越しを促すもの。
なので合理的に左側端を検討すると、左側から自転車が追い抜き出来る余地があれば違反と見ていいのではないでしょうか?
自転車ナビラインは法定外表示ですが、おおよそ車道の左側端となるとこの道路においては自転車ナビライン上になります。
@okkun_oosakaは判例を挙げろと語っているようですが、類似判例はあります。
交通事故の民事賠償責任の裁判ですが、事故現場は片側2車線道路で、第1車線をトラックが通行していて、第2車線を原付が通行していた。
この状態でほぼ並走状態。
そしてトラックが第2車線に進路変更した際に、第2車線にいた原付を見落としていたことで起こった事故というわけです。
本件事故現場は道路左側が2車線になっており、そのうち、少なくとも事故直前の時点にあっては、道路中央線から遠い車線、即ち道路左側から数えて1番目の車線(以下便宜「第1車線」という)上を被告のトラックが、道路中央線に近い車線、即ち道路左側から数えて2番目の車線(以下便宜「第2車線」という)の梢第1車線寄りの部分を原告が、いずれも同一方向に、殆ど近接した状態で併進したこと、被告は第1車線上の他車輛を追越すため後方を確認したが、その確認状態が杜撰で不十分であったため原告に気付かず、事故現場直前約13.8mの地点で第2車線に進路変更のための方向指示器を挙げて追越にかかり車体が約半分第2車線に出たところで直進してきた原告に接触したこと、しかし右の第1、第2車線は道路交通法第20条所定の車両通行帯ではないこと、即ち、右両車線の中央を仕切る境界線は道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第四(区画線の様式)(102)所定の車線境界線であって、道路管理者である建設省において便宜表示した記号にすぎず、之と若干まぎらわしい記号ではあるが、同命令別表第六(道路標示の様式)(109)1(1)所定の、公安委員会が危険防止のため設定表示した車両通行帯境界線ではないこと
各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。
福岡地裁小倉支部 昭和48年1月19日
公安委員会が決定していない車線境界線の場合、軽車両は第1車線の左端であって、速度が遅い原付についても「軽車両と同様に」左側端を通行して事故を未然に防止すべきとなっています。
車両通行帯か車線境界線か見分けがつかない問題


どの警察署の交通規制課でも、一般道で全線が車両通行帯になっていることなんて「聞いたことが無い」というレベル。
例えばですが、ここは国道16号線の相模原市南区になりますが、ここについても車両通行帯ではありません。
交差点手前だけが車両通行帯(109)で、それ以外は複数車線であっても車線境界線(102)。
相模原南署管内でも、複数車線だから車両通行帯であるという運用はしていないそうで、これについては全国同じだろうとのこと。
その中で、全国同じ運用をしているとする法的根拠があります。
国家公安委員会は、どこにどのような交通規制をするのか指示を出しています。
第百十条 国家公安委員会は、全国的な幹線道路(高速自動車国道及び政令で定める基準に従い国家公安委員会が指定する自動車専用道路を除く。)における交通の規制の斉一を図るため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、公安委員会に対し、この法律の規定により公安委員会の権限に属する事務のうち、車両等の最高速度その他政令で定める事項に係るものの処理について指示することができる。
政令ではこのようになっています。
第四十二条
2 法第百十条第一項の規定による国家公安委員会の指示は、全国的な幹線道路のうち内閣府令で定めるものについて、交通の規制が斉一に行われていないか、又は斉一でない交通の規制が行われようとしているため、その道路における交通の円滑を欠き、又は欠くおそれがあるときに行うものとする。
3 法第百十条第一項の政令で定める事項は、信号機の設置及び管理による交通整理並びに法第二条第一項第七号、第四条第三項、第八条第一項、第十七条第四項、第二十条第一項ただし書及び第二項、第二十条の二第一項、第二十一条第二項第三号、第二十三条、第二十五条の二第二項、第二十六条の二第三項、第三十条、第三十四条第一項、第二項、第四項及び第五項、第三十五条第一項、第三十五条の二、第三十六条第二項、第四十四条第一項、第四十五条第一項、第七十五条の六第一項並びに第七十五条の八の二第二項の道路標識等による交通の規制に関することとする。
2条1項7号(車両通行帯の定義)、20条(車両通行帯の通行方法)が車両通行帯についてになります。
これに基づく国家公安委員会の指示内容が、交通規制基準と呼ばれるものになる。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20210304.pdf
以下、公安委員会が車両通行帯を設けるように書いている部分。
1 車線境界線が設置されている道路であっても、車両通行帯を設定するに当たっては、公安委員会の意思決定を得ること。
2 次のいずれかの道路に該当する場合は、必ず、車両通行帯の意思決定を得ること。
(1) 車両通行区分、特定の種類の車両の通行区分、牽引自動車の高速自動車国道通行区分、専用通行帯、路線バス等優先通行帯又は牽引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間の規制を実施している道路の区間
(2) 進行方向別通行区分又は原付の右折方法(小回り)の規制を実施している交差点、及び片側3車線以上の交通整理の行われている交差点の手前
(3) 進路変更禁止の規制を実施している道路の区間
3 車両通行帯を設定すると、車両の通行方法(法20条)、原付の右折方法(法34条)及び交差点における優先関係(法36条)等についての規定が適用されることを考慮すること。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20170424.pdf
この中で「必ず車両通行帯の意思決定を得ること」となっているのは、上で挙げた上乗せ規制のことです。
ここまでで、車両通行帯の作り方については国家公安委員会が指示していることが分かります。
その上で様々な警察署の交通規制課で話を聞いたり、決定資料を見る限りではやはり国家公安委員会の指示事項(交通規制基準)にしか車両通行帯はないと見ていいです。
こちらは福井県の公安委員会の決定資料ですが、例えば福井県報 平成31年 (号外1)の福井南警察署の「車両通行帯(交差点付近等)を設ける区間」の1、花堂交差点。
福井県報 平成31年 (号外1)
公安委員会の決定では、東西南北のそれぞれ交差点から30mだけが車両通行帯(車線数3)だとなっています。
けど交差点付近以外も、どうみても車線は複数ある。
基本はこういう感じで、道路自体はずっと複数車線あっても、交差点付近だけを車両通行帯にする運用。
これは様々な警察署の交通規制課でも確認済み。
なので自転車が通行できる一般道では、
・交差点の手前
・専用通行帯、優先通行帯
これら以外は、車両通行帯ではない複数車線道路と見ていいかと。
仮に見分けることができないという場合には、18条1項(車道の左側端)と20条1項(第1通行帯)の両方を満たす位置を走らないと、違反になります。
そうすると、第1車線の左端にいるのであれば、両方ともに満たせる位置になると言えるかと。
結局のところ
このように述べているようですが、
いちゃもんつけるなら、せめて第一通行帯の真ん中を走っていたけど、実は公安委員会の指定がされていなかったから違法だとか、さらに第一通行帯の更に左端を走る義務があったとかいう判例でも見つけて教えてくれよ。https://t.co/akQodsjxaX
— おっくん (@okkun_oosaka) August 3, 2021
「車両通行帯」というのは公安委員会が意思決定して初めて車両通行帯になるので、根本的な考え方が間違っているだけのこと。
意思決定していない道路は、「車両通行帯が無い道路」となります。
本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。
最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日
最高裁もそのように判示してますね。
このように全く法律を理解していないようですが、
簡単な話だよ。道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の別表第六(第十条関係)規制標示の車両通行帯(109)に示された道路標示があればいいんだよ。どこにも『公安委員会が指定していないものを除く』との法律はない。 https://t.co/KqNpeCreaZ
— おっくん (@okkun_oosaka) July 24, 2021
車両通行帯)(109)は公安委員会が意思決定して初めて車両通行帯(109)になるという法律であって、公安委員会が意思決定していない複数車線道路は車線境界線(102)でしかない。
道路交通法上では、これらを見分けて走ることとされていますが(18条1項、20条1項)、見分けることができない人は両方を満たす位置を通行するしかありません。
両方を満たす位置というのは、第1車線の左端になる。
この方の言い分の間違いを正すとこうなります。
間違い | 正解 |
規制標示の車両通行帯(109)に示された道路標示があればいいんだよ。どこにも『公安委員会が指定していないものを除く』との法律はない。 | 規制標示は公安委員会しか作れないので、道路交通法上、車両通行帯は公安委員会の指定が必須。 |
法律はバッチリ存在しているにもかかわらず、それを読み取れなかったというだけのこと。
実はこれ、昭和46年の道路交通法改正時に、車線境界線(102)を車両通行帯とみなすための法改正が検討されていました。
この時は、路側帯の線と中央線を区画線⇒規制標示とみなす法改正がありましたが、車線境界線を車両通行帯とみなす法改正のみ見送りになっています。
当時の国会議事録。
第二条第二項、第百十条の二第三項から第七項まで等の規定は、道路法の規定に基づいて道路の管理者が設置した車道中央線、車線境界線、車道外側線等の区画線を中央線、車両通行帯、路側帯等を表示する道路標示とみなすこととするとともに、車両通行帯の設置、法定の最高速度を越える最高速度の指定等、現在も道路の管理者の意見を聞かなければならないこととされているもののほか、通行の禁止、横断歩道の設置等についても道路の管理者の意見を聞かなければならないこととし、さらに、高速自動車国道または自動車専用道路における通行の禁止、追い越しの禁止等については、道路の管理者に協議しなければならないこととする等、道路の管理者等との関係について規定を整備しようとするものであります。
国会会議録検索システム
中央線と路側帯のみ、区画線を道路標示とみなすことになり、車線境界線を車両通行帯とみなすことは見送り。
現行法ではこのように規定されています。
道路交通法
2 道路法第四十五条第一項の規定により道路標示設置された区画線は、この法律の規定の適用については、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより、道路標示とみなす。
標識令
第七条 次の表の上欄に掲げる種類の区画線は、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「交通法」という。)の規定の適用については、それぞれ同表の下欄に掲げる種類の道路標示とみなす。
区画線 | 道路標示 |
「車道中央線」を表示するもの | 「中央線」を表示するもの |
「車道外側線」を表示するもの(歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられ、かつ、実線で表示されるものに限る。) | 「路側帯」を表示するもの |
このように、道路交通法では車線境界線(102)を車両通行帯(109)とみなしても構わない法的な根拠もありません。
この方、判例を見て判決文に記されていないことを勝手に認定するなど、恣意的解釈をされているようですが、的外れと言っていいでしょう。
判決文に記されていないことを勝手に創造しただけのこと。

そしてこの方が挙げた記事、
これ以外の場合は、車道を走行することになりますが、車両通行帯のない1車線道路では左端を通行するルールとなっています。
一方、車両通行帯がある道路では、やや事情が異なってきます。
車両通行帯がある道路では、自転車は一番左側の車線(第一通行帯)を通行しなければならないと、道路交通法で決められています。しかし、1車線道路のように左側端を通行しなければならないとは決められていないのです。
運転中にこのような状況を見かけた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。警視庁の交通相談コーナー担当者は、次のように話します。
「多通行帯道路の場合、第一通行帯で前方の真ん中を走る自転車を追い越したい場合は、右側に車線変更をおこない通常のクルマを追い越す際と同様の手順で追い越します。
しかし、車線変更ができるかは道路の混雑状況にも左右されます。車線変更が難しい場合は、自転車の速度に合わせてついていくしかありません」
車道の真ん中を走る自転車は違反? クルマが安全に追い越すための対処法とは新型コロナ禍で、飲食物の宅配をおこなう自転車をよく見かけるようになりました。軽車両に分類される自転車は車道を基本的に走りますが、クルマと自転車は速度域が違うため、互いに危険を感じる光景を見かけることがあります。車道の真ん中を走っている自転車...
警察の説明は、車両通行帯がある場合についての説明なので、これで何ら間違いがない。
ただし、複数車線だけど車両通行帯が無い場合についての説明をしていないので、その点では不十分と言っていいかもしれません。
この方、判例を出せと言っているようです。
判例はありますが、そもそもの話でいうとこれらについては道路交通法上で決まっていることなので、法律の条文上で明らかなことについて判例を出せというほうが間違っている。
むしろ、「公安委員会が意思決定していない複数車線道路を、車両通行帯とみなしても違法ではない」とする判例をこの方が挙げないといけない立場。
法律上で明らかなことについて判例を出せというほうが間違っていて、法律上の条文規定とは違う通行方法が認められている判例をこの方が出さないといけない。
ちょっと勘違いが甚だしいとでも言いましょうか。
ほかの判例(民事)でも、車線境界線の車両通行帯は分けているものはあります。
なお被告は亡Aに重大な過失の存ずる根拠の一つとして、原付自転車に登場していた同人が本件事故現場に設置されていた3本の通行区分帯中左端の第一通行帯を進行すべきであるのに(道交法20条1、3項、同法施行令10条1項2号)右端の第3通行帯を進行した旨主張するが、【証拠略】によれば本件事故現場に設けられている前記2本の白線は岡山県公安委員会が正式の車両通行帯として設置したものではなく、道路管理者たる建設省岡山国道工事事務所が通行車両の便宜を考慮して設けた事実上の車両境界線に過ぎないことが認められるから、両被告の主張はその前提を欠き理由がないものと言うべきである。
岡山地裁 昭和45年4月22日
なお車両は車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない(道路交通法20条)が、本件道路について、車両通行帯(同2条1項7号)が設置されていることを示す証拠はない(車線境界線は、直ちに車両通行帯になるわけではない)し、右折を予定していたことを踏まえると、ただちに左側寄り通行等の規制に反していたともいい難い。
そうすると、被告において第2車線を走行していたこと自体に何らかの過失を見いだすことも困難といえる。
名古屋地裁 平成26年9月8日
次はちょっとわかりづらいですが、車両通行帯が有効かどうかが争われた判例です。
(原告の主張)
ア 本件5車線区間には車両通行帯は設けられておらず、また、本件車線が左折通行帯である旨の道路標識も設置されていないから、原告の本件直進進行は、何ら道交法に違反するものではない。イ 規制標示である道路標示の「車両通行帯(109)」は、色彩が白色で、破線(線部の長さは3~10m、線部と線部の長さはその1.0~2.0倍)とされている(標識令8条から10条まで、同別表5、同別表6)。
しかるに、本件5車線区間における車線の境界線は、黄色であって白色ではないし、その手前の4車線である区間における車線の境界線は、白色破線ではあるけれども、長さが上記規定と異なるから、いずれも車両通行帯境界線ではない。したがって、本件5車線区間には車両通行帯は設けられていない。
ウ 進行方向別通行区分の指定には、道交法4条、道交法施行令1条の2、標識令4条2項1号により、公安委員会が設置する規制標識である道路標識及び規制標示のいずれもが必要である。規制標示は、道路が未舗装の場合や雪で見えない場合など道路状況によって省略できる場合もあるが、規制標識は省略することができない。
しかるに、本件車線が左折通行帯である旨の規制標示は設置されていないから、本件車線に関する進行方向別通行区分の規定は、有効に行われていない。
当裁判所の判断
(1)証拠及び弁論の全趣旨によれば、東京都公安委員会は、昭和45年12月18日、本件5車線区間について進行方向別通行区分及び進路変更禁止の規制をする旨の決定を行い、これに基づき、本件5車線区間に車両通行帯を設け、本件車両通行帯には、左折通行帯である旨の規制標示「進行方向別通行区分(110)」を設置していたものと認められる。
(2)これに対し、原告は、前記記載のとおり主張する。
しかしながら、、前記(1)のとおり、本件5車線区間については、進行方向別通行区分の指定と併せて進路変更の禁止の規制が行われていることが認められるのであり、道交法26条の2第3項、標識令別表第6によれば、「進路変更禁止(102の2)」は、車両通行帯が設けられていることを前提にして行われる規制であり、ある車両通行帯境界線で区画された両側の車両通行帯の一方から他方への進路の変更を両方向とも禁止する場合には、当該車両通行帯境界線を黄色とすることとされていることが認められるのであり、その限りにおいて、車両通行帯を設ける場合における車両通行帯境界線を白色の実線又は破線とする旨の「車両通行帯(109)」の特則を定めたものであることが明らかである。
したがって、本件5車線区間における車両通行帯境界線が黄色実線であることをもって、本件5車線区間に車両通行帯が設置されていないとする原告の主張は、採用することができない。
なお、本件5車線区間の手前の4車線である区間における車線の境界線についての原告の主張は、本件5車線区間とは異なる区間に関するものであって、本件5車線区間に車両通行帯が設置されている旨の判断を左右するものとは認められない。(3)ア また、原告は前記第2の3(1)ウ記載のとおり主張する。
そこで検討するに、道交法35条1項は、進行方向別通行区分の指定は道路標識等によってすることを定めているところ、道交法においては道路標識等とは、道路標識又は道路標示を意味すると定められているのであるから(2条1項4号)、道路標識又は道路標示(規制標識又は規制標示)のいずれかを設置すれば、道交法35条1項所定の要件を満たすものと解される。
そして、本件車両通行帯に左折通行帯である旨の規制標示「進行方向別通行区分(110)」が設置されていたことは前記(1)で認定した通りであるから、本件車両通行帯を左折通行帯とする進行方向別通行区分の指定は、適法であり、有効に行われているものと認められる。
平成23年7月19日 東京地裁
民事訴訟の場合、基本的には交通事故が起こった後の損害賠償請求になります。
民事では、立証義務は当事者にあるため、当事者同士が主張していないことを裁判官が勝手に判断することは出来ません。
そのため、原告も被告も「車両通行帯である」と主張すると、車両通行帯であることを前提に裁判官が判断します。
原告が「車両通行帯である」と主張し、被告が「車両通行帯ではない」と反論した場合は、主張と証拠を以って裁判官が判断することになりますが、民事の判例ではあまりこのあたりを突っ込んでいる判例はありません。
このような判例もあります。

この判例では、道交法の車両通行帯なのかどうかはちょっと怪しい点もあるのですが、そこが争点にはなっていません。
なので道交法の車両通行帯だったのか、複数車線だから双方が車両通行帯と主張したのかどうかについては不明ですが、以下のような判示が成されています。
原告(自転車側)の主張。
(ア)自転車の走行は道路交通法にのっとったものであること
自転車は軽車両であり、原則として車道を通行しなければならず、第1事故現場は、車両通行帯が設けられた片側2車線の道路であるから、道路交通法上、自転車は、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行するべきであるが、その際、左端に寄る必要はない(道路交通法17条、18条1項、20条1項)。したがって、自転車は、第1車線内であれば、どの位置を通行してもよく、第1車線内で多少ふらつき、又は第1車線内で左端寄りの位置から車線中央付近に位置を変更して走行したとしても、道路交通法にのっとった走行方法であって、何ら過失がない。
(イ)被告車が追越しの際に第2車線に車線変更しなかったこと
道路交通法20条3項によれば、車両通行帯が設けられた道路で他の車両(自転車を含む)を追い越すときは、1つ右の車両通行帯を通ってそうこうしなければならないにもかかわらず、被告車は、自転車を追い越す際、第2車線に車線変更せず、第1車線を走行したまま追い越そうとしたから、この点に過失がある。
その他、後続車が回避行動を取らなかったこと(減速する等)、後続車が大型車でありより高度な注意義務が課されていることなどを主張しています。
ここに関わる裁判所の判断です。
自転車は、後方から接近してくる被告車の動静に注意を払わず、何らの合図もなく、突然、斜め約45度の角度で右方向に進路変更して被告車の右前まで移動したのであるから、この点について、自転車にも過失が認められる。
この点について、原告は、道路交通法上、自転車は、第1車線のどこでも自由に通行することができるから、第1車線内での進路変更は過失に当たらない旨主張する。しかし、本件道路のような、高速で走行する自動車が多く、中央分離帯のある片側2車線の幹線道路を自転車が通行する場合、自動車と自転車の速度差は一般道よりもさらに大きく、自転車は、常に後方から進行してくる自動車に追い越されることになり、自転車が後方から直進してくる自動車の前に進路変更すれば、自動車と衝突する可能性は極めて高いのであるから、自転車は第1車線の左寄りの位置を通行するのが通常であり、これを前提にほかの車両も通行するものである。したがって、本件道路においては、自転車が第1車線内で右寄りに進路変更する際には、後方から高速度で走行してくる自動車の動静に注意しなければならないことは当然であって、これに対する注意を欠いたことは、自転車運転者の過失となるというべきであり、道路交通法上は走行方法が違法でないからといって、その過失を否定することはできない。
福岡地裁久留米支部 令和2年6月12日(控訴棄却、福岡高裁令和2年12月8日)
恐らくは道交法の車両通行帯ではなかったのではないかと思われますが、車両通行帯であっても自転車は第1車線の左端を通行するのが通常だとしています。
結局のところ、@okkun_oosakaが道路交通法の車両通行帯の定義を分かっていないがために、記事の内容を読み違えたりしただけと評価するのが適切。
中には、警察庁の資料を持ち出して、「公安委員会の指定なんて書いてないだろ」と言い出す人もいるのですが、
警察庁は道路交通法の定義による車両通行帯のことを書いているのは当たり前のこと。
なので単に定義を理解していない人の言い訳に過ぎないことが理解できます。
なお、「交通の方法に関する教則」というものが国家公安委員会から出ているのですが、これは道路交通法108条の28に基づき、道路交通法を分かりやすくしたものです。
それによると、自転車の通行方法はこのように記されています。
(2) 自転車は、車道や自転車道を通るときは、その中央(中央線があるときは、その中央線)から左の部分を、その左端に沿つて通行しなければなりません。ただし、標識(付表3(1)32、32の2、33、33の2)や標示(付表3(2)14、14の2、15)によつて通行区分が示されているときは、それに従わなければなりません。しかし、道路工事などでやむを得ない場合は別です。
交通の方法に関する教則
左端の除外になっている道路標識と道路標示をピックアップしました。
種類 | 番号 | 表示する意味 |
車両通行区分
|
32 | 車の通行区分の指定 |
特定の種類の車両の通行区分
|
32の2 | 標示板に表示された車の通行区分の指定 |
専用通行帯
|
33 | 標示板に表示された車の専用の通行帯の指定 |
普通自転車専用通行帯
|
33の2 | 普通自転車の専用の通行帯の指定 |
種類 | 番号 | 意味 |
車両通行区分
|
14 | 車の種類別の通行区分の指定 |
特定の種類の車両の通行区分
|
14の2 | 特定の種類の車の通行区分の指定 |
専用通行帯
|
15 | 特定の車の専用通行帯の指定 |
やはり同じく、複数車線だから車両通行帯とは見なしていないわけです。
さて、車両通行帯は交差点手前とか専用通行帯にしか設定されていないわけですが、そのためにこのような通行方法が違反ではないと言えます。
複数車線あっても、車両通行帯ではないので左側端通行義務がある。
交差点手前の進行方向別通行区分のところは車両通行帯なので、第1通行帯の中で右寄りを通行しても違反ではない。
左折専用レーンでは、左折巻き込み防止のためにこのような動き方をすることはロードバイクにとって常識ですが、これが可能な理由は、交差点手前だけ車両通行帯だからです。
そのため、この方が好き勝手に走っても取り締まり出来ないとも言えますが、違法な位置を通行している自転車に対しては、仮にクラクションを鳴らしたとしても違反とは言えない余地があります。



車両通行帯かどうかを見分ける知識が無い人は、18条1項と20条1項を両方守れる位置、つまり第1車線の左端を走る義務があるね。
法律上は、車両通行帯が無いのだから車道の左端だけど。


けど悪質だと思ったら110番でいいと思うよ。
「車両通行帯ではないと思われる片側2車線道路で、第1車線のど真ん中を走っている自転車がいて、通行妨害されている」と伝えればOK。


2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント