PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

横断歩道5m範囲は、渋滞停止なら問題ないのか?

blog
スポンサーリンク

先日書いた記事に質問を頂いたのですが、

義務と注意義務の違いと、一時停止する必要があるか?
こちらで挙げた内容に質問を頂いたのですが、○「横断歩道又はその手前の直前で停止している車両等」とは進路前方に設けられた横断歩道上か自車から見てその手前で停止している車両等のことです。したがって停止車両等が自車線(複数の車線がある道路において...

読者様
読者様
横断歩道5m範囲は渋滞停止して問題ないの??

という疑問ですね。

 

これなんですが、44条3号でいう「危険を防止するため一時停止する場合」に該当するので違反にはならないとする見解があります。

(停車及び駐車を禁止する場所)
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
三 横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分

ただまあ、個人的には懐疑的。
まず、「停車」には一時停止を含むというのは条文上明らかですが、

「停車」に一時停止も含まれる。
読者様から「これって合ってる?」と質問を頂いたのですが、これは誰が何のために書いた記事なのかわかりませんが、間違いという以前に意味がわからないというのが感想です。停車には「一時停止」も含まれる道路交通法の「停車」とは、「駐車以外の停止全て」...

44条で「危険を防止するため一時停止する場合」を除外している趣旨って、要はやむを得ない事情で停車した場合にまで44条を適用しないことを明らかにしたものだと考えられる。
例えば先行車が何らかの突発的な事情で急停止したときには、後続車も事故回避のために急停止するしかなく、急停止した結果横断歩道の5m範囲に停車することになったときに「はい!44条違反!」というのは理不尽過ぎて笑えない。
そういう「危険防止のやむを得ない事情により横断歩道5m範囲に停車した場合」を除外する趣旨で「危険を防止するため一時停止する場合」を除外したと思うのよ。

渋滞していればいずれ横断歩道の5m範囲に停車することが容易に予想される場合まで、「危険を防止するため一時停止する場合」に該当するからセーフというのは違うんじゃないですかね。
そのような場合はきちんと横断歩道5m範囲を開けて渋滞停止するのが筋だと思う。

 

ちなみに以前も書いたけど、44条3号は昭和46年以前と以後で内容が違う。

昭和39~46年 昭和46年以降
横断歩道の手前の側端から前に五メートル以内の部分 横断歩道の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分

昭和46年改正以前の旧44条3号の解釈はこれ。

「横断歩道の手前の側端から前に五メートル以内の部分」とは、進行方向に向かい、横断歩道の手前の側端からさらに手前に五メートル延長した道路の左側部分の長方形または平行四辺形の部分のことである。

注解道路交通法、宮崎清文、立花書房、1966

具体的に示すとこうなる。

改正した理由はこれ。

横断歩道の先方5メートル以内の部分を停車および駐車を禁止する場所とした(第44条第3号等の改正)

現行規定においては、横断歩道の手前の側端から5メートル以内の部分が停車および駐車を禁止する場所とされているが、横断歩道の先方5メートル以内の部分に車両が駐停車している場合であっても、対向の車両の運転者が、その横断歩道により道路を横断している歩行者の発見が困難になり、歩行者に危険を生じさせるおそれがあるので、今回の改正により、横断歩道の手前だけでなく先方についても、横断歩道の側端から5メートル以内の部分を停車および駐車を禁止する場所としたのである。

道路交通法の一部を改正する法律(警察庁交通企画課)、月刊交通、道路交通法研究会、東京法令出版、昭和46年8月

歩行者に危険を生じさせるという意味では、

仮に渋滞停止が44条の除外事由「危険を防止するため一時停止する場合」に該当するからセーフだとしても、「そこは避けて停止することが望ましい」となるし、そもそも50条2項ではこうなっているわけで、

(交差点等への進入禁止)
第五十条
2 車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によつて区画された部分に入つた場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分に入つてはならない。

この規定は5m範囲ではなく横断歩道上の話になりますが、違反の成立という観点にこだわるのではなく、法の趣旨からすれば渋滞停止だろうと5m範囲は避けて停止するのが筋なのではないでしょうか?

 

ちなみに38条2項の解釈をする上では、どの解説書でも「44条3号」を理由に説明している。
44条3号が昭和46年以前と以後で違うことを見逃すと、昭和42年に38条2項を新設したときの解説の意味を勘違いする。
そこに気付いている人は少ない気がしますが…それらをきちんと整理して解説書を読むと、理解度が全然違うのよね。
今回のケースについては、ルール上は渋滞停止が44条の除外事由「危険を防止するため一時停止する場合」に該当するからセーフという見解がある、としか言えませんが、渋滞していれば横断歩道直近で停止することが容易に予想できるわけで、それを「危険を防止するため一時停止する場合」と捉えるのは疑問。
確かにこの除外には「危険を防止するためやむを得ず一時停止する場合」とはなってませんが、あえてこの除外規定を設けた理由は「やむを得ない事情まで処罰する意味ではない」ことを明確にしただけなんだろうし。

 

どちらにせよ、違反の成立不成立にこだわりすぎると本来の趣旨が希薄になる気がします。

コメント

  1. ゆき より:

    (殆どやってる人居ないけど)対向車が横断歩道に通行人が居るかを遠方から確認できなくなるので大幅に減速したり、一時停止したりするから、
    対向車の円滑な交通という面でも、避けられるなら横断歩道5m以内の渋滞停車も避けたほうが吉なんですよね。

    自分は横断歩道の反対が見えなければ、容赦なく減速したり飛び出しがヤバい所はほぼ一時停止しちゃいますが、文句は対向車線の車に言っておくれと思いつつ減速してます。

    トラックとかバスが横断歩道の上に居ると、トラックやバスの前後から横断者がひょっこりする事が有るから注意ポイントが増えて嬉しくない。
    トラックよりも、軽トラやワンボックスぐらいの長さが一番ひょっこりする気もするけど。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      現実問題として、違反になるかならないかは事故防止の観点からはさほど重要じゃないんですよね。
      まあ、5m範囲を開けておいても、対向車が無減速で来たら意味がないのですが…

タイトルとURLをコピーしました