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徐行していたら無過失は可能か?

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こちらの件。

広路通行車は徐行義務が免除されない。
こちらの件。これについてはほとんどの人が理解してないと思うし、この機会に認識を改めたほうがいいと思っているので記事にしたんだけど、①②どちらの方向から交差点に進入しても、左右の見通しが悪い上に優先道路(交差点内にセンターライン又は車両通行帯...
左右の見とおしがきかない片側二車線の交差点と徐行義務の話。
ではこちらの件。先に優先道路の定義。「優先道路」を勘違いしている人が多いので、「優先権がある道路」と思っている人が多い。優先道路の定義はこれ。優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車...

当該交差点には優先道路(交差点内にセンターライン又は車両通行帯)がない上に左右の見通しが悪いので徐行義務(42条1号)の対象になりますが、

質問を頂きました。

読者様
読者様
これって徐行していたのに交差道路から車が突っ込んできて事故になった場合、無過失になるのでしょうか?

一応ですが、民事の過失割合として公表されている数字は、優先側にも前方不注視など何らかの過失がある前提になってまして、こういう事故についても広路通行車が徐行してないことも考慮した数字になってます。
なので理屈の上では徐行して左右を注視して回避行動を取ったにもかかわらず、交差道路からムリに進入されたなら無過失になるチャンスはある。

 

若干事案は違いますが、左右の見通しが悪い交差点で徐行していたことから無過失を認めた事例はある。

被告車は、入口で一時停止及び左右の安全確認をせずに本件交差点に進入している。被告らは、被告車が減速して本件交差点に進入したところ、高速で進入してきた原告車と衝突したと主張するが、当該主張は原告車及び被告車の損傷状況と必ずしも整合せず、その様な事実を認めるに足りる証拠はない。一方、原告は、入口手前で減速し本件交差点には徐行で進入したと主張し、これに添う供述をしており、当該供述の信用性を疑うべき事情は見あたらない。本件事故は、主に、被告の一時停止義務違反、前方左右不注視の過失によるものといえる。
(中略)いずれにしても、原告車が徐行していたのに対し、被告車は、見通しの悪い本件交差点に、一時停止も減速もせず、前方左右の安全を確認することもなく進入しているのであるから、被告の過失は著しく、本件が過失相殺を相当とする事案とは考え難い

名古屋地裁 平成26年3月12日

要は徐行していたならこうなる。

①そもそも事故に至らない可能性が上がる
②民事上も有利になる
③対歩行者や対自転車の事故なら若干の過失はつく可能性はあるが(優者危険負担の原則)、そもそも速度が遅い弱者相手なら事故に至らない可能性が高まる

最高ですよね。
ただし徐行していたことの立証に失敗すると話がややこしいので、ドラレコは必要。
加害側だと無過失の立証(自賠法3条)の問題もあるから、「徐行していたか明らかとは言えない」にされたら無過失の立証に失敗する。

 

ちょっと前に相手が赤信号で進入したけど、自分が「青信号だったことの証明」に失敗し、赤信号対赤信号として過失相殺された事案を取り上げましたが、

自賠法3条による無過失の証明。
ちょっと前に福井地裁判決から「自賠法3条による無過失の証明」について解説しましたが、難しすぎてわからないと言われてしまう…うーん、どう説明すると分かりやすくなるのだろう。損害賠償の基礎交通事故において損害賠償請求する際には、主に2つの法律が...

自賠法3条によると、加害側は無過失を証明しない限り賠償責任があるので、徐行していた証明がないと「徐行してなかった」ことを前提に過失相殺されてしまう。

 

防衛運転という概念がありますが、他人を傷つけないようにするのも、自分が傷つかないようにするのも同じなのよ。
徐行義務は両方の意味がある。

 

そして過去に無過失の判例をいくつか取り上げてますが、やることやってもダメだった事故について過失を認めるほど理不尽な法律ではない。
ただまあ、裁判を経験するとわかるんだけど、裁判に巻き込まれない人生のほうがはるかにラクだと思うのよね…
そうすると、やることやっていたほうがはるかにラク。
あと謎のガセネタ流しまくる人についてもそろそろいい加減にしてもらいたくて、ガセネタは結局ガセネタなのよ。
徐行していたなら必ず無過失になるとは言えないけど、徐行していなかったなら無過失になるチャンスはないでしょう。

コメント

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