こちらの件にご意見を頂きました。

妨害運転罪は117条の2の2第1項8号に各類型が規定されてますが、
たとえばですが、追いつかれた車両の義務の特に1項(加速禁止)って、要は「追い越し妨害禁止」のルールですよね(2項も追い越し妨害禁止の規定だと理解できる)。
しかし妨害運転罪(117条の2の2第1項8号)には追いつかれた車両の義務が含まれていない。
これについては国会でこのように説明されている。
第201回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 令和2年5月29日
○中島委員 一般道においても適用されるということで、ちょっとここも確認させていただきたいんですが、今回、あおり運転を予防する対策をとるということですが、いわゆるのろのろ運転で通行を妨害する逆あおり運転というんでしょうか、そのような場合はどうなるのか。一般道における最低速度の設定について現状はどういった状況となっていて、いわゆる逆あおり運転の取締りとどのように整理しているのか、お尋ねしたいと思います。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
一般道におきまして、他の車両等の前方で著しく低速で走行してその進路を塞ぐような運転行為、先ほどのろのろ運転という御指摘がありましたが、これは道路交通法上は追いつかれた車両の義務に違反する行為でございます。このような行為につきましては、交通の円滑を妨げる迷惑な行為でございますけれども、いわゆるあおり運転として重大な社会問題となりました極めて悪質かつ危険な行為とは必ずしも言えないということであり、妨害運転の対象とはしていないところでございます。
そうは申しましても、このような行為は、道路における交通の円滑を妨げますとともに、時としては、逆にあおり運転を誘発するということにもなりかねない行為でございます。警察におきましては、思いやり、譲り合いの気持ちを持った運転の必要性につきまして各種広報啓発を推進しているところでございますけれども、あわせて、現に、追いつかれた車両の義務違反での検挙ということも行っているところでございます。
妨害運転罪は「妨害行為全般」を類型化したものではなく、妨害行為のうち「極めて悪質かつ危険な行為」を選抜したものと考えたほうが良さそう。
現状では下記にあたるものだけが妨害運転罪ですが

改正18条4項の趣旨が「追い抜き妨害禁止」にあるとしても、似たような「追い越し妨害禁止」の「追いつかれた車両の義務」は妨害運転罪にはなっていない。
これらは妨害行為とはいえても、極めて悪質かつ危険な行為かと言われたらビミョーだから妨害運転罪とは異なることにしてあると理解したほうがいいかと。
前回挙げた動画についても、

急ブレーキ違反(24条)があったから24条の妨害運転罪を適用してますが、急ブレーキがなかったならあれだけ妨害行為をしながらも何ら罰則がないんですね。
センターラインを越えたら通行区分違反にはできるけど、道路左側でウェーイされたら罰則を適用できそうな条文がない。
クルマには「追い抜き時の罰則付き義務」を新設しながら、追い抜き妨害する自転車に罰則がないのはあまりにもアンバランスだから18条4項を新設したけど、
3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合(当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。
4 前項に規定する場合においては、当該特定小型原動機付自転車等は、できる限り道路の左側端に寄つて通行しなければならない。
これも国会で質問が出ている。
第213回国会 参議院 内閣委員会 第14号 令和6年5月16日
○塩村あやか君 ありがとうございます。
ということは、やっぱりその自転車を運転する側がしっかりといろいろな方向に注意をしておかなくてはいけないという形で、運転する人がちゃんと、自分は大丈夫なのかというのはやっぱりちゃんと自問自答しながら自転車に乗っていかなきゃいけないなというふうに思いました。ありがとうございます。
十八条、先ほど酒井先生の方からも質問あったと思うんですけれども、自動車などの車両は、特定小型原動機付自転車などの右側を通過する場合において、十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等の間隔に応じた安全な速度で進行しなければならないという規定を創設するということに今回なっております。
十分な間隔そして間隔に応じた安全な速度とは具体的にどのようなものを想定しているのか、分かりやすく教えてください。○政府参考人(早川智之君) お答えいたします。
歩道における自転車と歩行者の事故件数が増加傾向にある中、自転車の車道通行の原則の徹底を図るためには自転車利用者が安全に車道を通行できる環境を整備することが重要であると考えております。
御指摘の規定は、車道における自転車と、失礼しました、自動車と自転車の接触事故を防止するため、自動車が自転車の側方を通過する際のそれぞれの通行方法を整備する規定でございます。本規定に定める自動車と自転車との間隔や安全な速度につきましては、自動車と自転車との具体的な走行状況に加えまして、道路状況や交通状況などにより異なることから、具体的な数値は規定していないところでございます。
その上で、あえて申し上げれば、例えばでありますが、都市部の一般的な幹線道路においては、十分な間隔として一メートル程度が一つの目安となるものと考えているところでございます。また、このような十分な間隔を確保できない狭隘な道路におきましては、自転車の実勢速度というものが、いろいろありますが、二十キロメートル毎時程度であるということを踏まえますと、例えばこうした場合には、間隔に応じた安全な速度としては二十キロから三十キロ、これぐらいの速度というのが一つの目安になるのではないかと考えているところであります。
いずれにいたしましても、この規定の趣旨は、自転車の安全を確保しつつ、自動車と自転車の双方が円滑に車道上を通行することを確保することにありまして、自転車に危害を加えるような態様でなければ本規定の趣旨に反するものではないと考えているところであります。
なぜ18条3項を新設するに至ったかというと、歩道上での自転車事故が増えているのだから、「自転車利用者が安全に車道を通行できる環境を整備することが重要」という観点から、愛媛県条例を参考に作られた。
「自転車利用者が安全に車道を通行できる環境を整備することが重要」という観点で作られ、アンバランス解消のために18条4項を新設して自転車にも一定の制限をかけたけど、あくまでも立法趣旨は「自転車利用者が安全に車道を通行できる環境を整備することが重要」なんよ。
つまりその観点から18条4項も考えないと話がおかしくなる。
歩道通行自転車に「車道を選んで欲しくて」車道通行時の安全性を担保するルールを作った。
もし18条4項が「なにがなんでもガチガチに左側端によれ」という意味だとしたら、車道通行を選ばずに歩道に戻るでしょと…
だから立法趣旨も含めてこういう解釈になるのね。
第213回国会 参議院 内閣委員会 第14号 令和6年5月16日
○酒井庸行君 いわゆる例外という部分で、これもそういう規定があるんでしょうけれども、これもある意味では大変危険な部分もあるのかなというふうに感じます。
またこれはそれぞれの皆さんからもいろんな形で質問はあるというふうに思いますけれども、次にもう一つ、私がちょっとうんっと思ったのは、今回のその法改正の中で、この十八条にあるんですけれども、当該の特定小型原動付自転車等はできる限り道路の左側端に寄って通行しなきゃならないと書いてあるんです。できる限りという表現が、よく、曖昧のような気がするんです。その辺をまたちょっと、御説明をしていただける時間、大臣に質問する時間がなくなっちゃうので短くお願いしたいと思いますけど、その辺をちょっとまずお伺いしたいと思います。○政府参考人(早川智之君) 自転車の側方を自動車が通過する場合のその義務に関する規定についての御質問でありますが、先ほどお答え申し上げたように、元々自転車は車道の左側端を走行しなければならないというような規定がございます。自動車が側方を通過する際は、自転車は元々車道の左側端、走行しておるんですが、可能であれば、可能な範囲で左側端に走行してくださいということで、本来、もう元々左側端を走行しているのであればそれで十分であるというような規定の趣旨でございます。
立法趣旨からみても自転車に過度な負担を強いる規定なわけがないし、立法趣旨は「歩道より車道を選んで欲しくて、車道通行時の安全性を担保するルールにした」。
この大前提をすっ飛ばして考えるから話がおかしくなる。
立法趣旨から考えることが大事なのは以前から指摘してきましたが、例えば昭和38年改正時に「横断歩道を横断しようとする歩行者がいるときには一時停止」とした。
これにしてもなぜそのようなルールにしたかを知ると、違反の成立点がどこなのか理解しやすくなる。

そもそも18条4項は1年前に改正された話ですが、結局のところメディアがちゃんと伝えないからうまく伝わってない。
「何の目的で18条3項を新設したか」「なぜ4項も必要か」が大事だけど、それらは既に国会では説明されているのよね。
結局、18条3項4項を理解するには改正経緯、立法趣旨を含めて順をおって整理しないと理解しにくいけどメディアは「追い抜かれる自転車ができる限り左側端に寄らないなら反則金」としか伝えない。
だから誤解の原因になるけど、全部理解しようとするとボリュームがかなりあるのよね。
それを一言で済まそうとするメディアも疑問。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


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