さてこちら。

警察庁はパブコメの結果を公表していますが、
そもそもこのパブコメ、かなりの人が勘違いしていたことがありまして。
警察庁パブコメの真意
今回のパブコメは「道路交通法施行令改正案」についてのものでして、改正案は自転車に青切符を適用する際の反則金の額についてのもの。
道路交通法自体は既に決まっているのだから、道路交通法解釈についてのパブコメじゃないのよね。


反則金の額については、自転車の交通違反に対する罰金(赤切符)の科刑実績が原付と同程度になっていることを踏まえたものだとする。
まあ、特定小型原付と自転車の他害性はほぼ同程度とみなせることを考えても、原付と同額にすることに何ら異論はない。
ところで問題なのは次。
自転車の歩道通行要件と青切符

本政令案等に対する直接の御意見ではありませんが、
○ 自転車の歩道通行が違反とされていることに関する御意見がありました。自転車の歩道通行のルールと取締りの基本的な考え方は、参考資料のとおりです。
前回記事でも書いたけど、「歩道通行したら即青切符」という壮大なガセネタがメディアや自称有識者から発信され、

それを信じた人が「そんなのおかしいだろ」とパブコメに集結。
ガセネタを信じ、ガセネタを前提に批判が殺到したから、パブコメとは何の関係もない「自転車の歩道通行要件」を警察庁が整理したわけよ。
警察庁からしたら「ガセネタに扇動された奴らが発狂中」くらいにしか思ってないんじゃないかと思いますが、

○ 自転車の運転者による反則行為のうち、交通事故に直結する危険な運転行為をした場合や、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合といった、悪質・危険な行為が自転車の交通違反の取締り対象となります※。
○ 一方で、単に歩道を通行しているといった違反については、これまでと同様に、通常「指導警告」が行われます。青切符の導入後も、基本的に取締りの対象となることはありません※ 。
※ 例えば、スピードを出して歩道を通行して歩行者を驚かせ立ち止まらせた場合や、警察官の警告に従わずに歩道通行を継続した場合には、取締りを受ける場合があります。
法文上、歩道通行要件は3つありますが、
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
問題なのは3号にある「やむを得ないと認められるとき」。
これの解釈は交通の方法に関する教則で示されている。
(4) 普通自転車は、次の場合に限り、歩道の車道寄りの部分(歩道に白線と自転車の標示(付表3(2)22)がある場合は、それによつて指定された部分)を通ることができます。ただし、警察官や交通巡視員が歩行者の安全を確保するため歩道を通つてはならない旨を指示したときは、その指示に従わなければなりません。
(中略)
ウ 道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき。
「警察官の警告に従わずに歩道通行を継続した場合には、取締りを受ける場合があります」というのは、63条の4第1項柱書きにある但し書きを指すと思われる。
歩道通行の3要件に当てはまる場合であっても、歩行者の安全を確保するため必要があると認めたとき、具体的にいえば歩行者が多いときなどには「歩道通行禁止」を言い渡すことは可能。
それにもかかわらず歩道通行を継続するのは青切符の対象になりうる。
ただまあ、「やむを得ない」について警察庁は教則でこのように記述している。
(4) 普通自転車は、次の場合に限り、歩道の車道寄りの部分(歩道に白線と自転車の標示(付表3(2)22)がある場合は、それによつて指定された部分)を通ることができます。ただし、警察官や交通巡視員が歩行者の安全を確保するため歩道を通つてはならない旨を指示したときは、その指示に従わなければなりません。
(中略)
ウ 道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき。
例示列挙されているのは以下の場合。
②著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合
③など
現実的にはやむを得ないに該当する事例はわりと多いんじゃなかろうか。
単なる炎上商法
結局のところ、メディアや自称有識者から「歩道通行は即青切符」というガセネタが流れ、ガセネタに扇動された人がパブコメに集結し、ビックリした警察庁が火消しをしただけなんよ。
だいたいにして、青切符の運用方針なんて一年以上前に正式にアナウンスされているのだから。
国家公安委員会委員長記者会見要旨
令和5年12月26日(火)11:02~11:09
問 自転車運転の青切符を盛り込んだ報告書が国家公安委員にも報告されたと思います。そこでお伺いしたいのは今後の教育の問題です。特定小型原付でも具体的な教育があまりなされている様子がなくて、今後、警察庁だけではなくて文科省とか総務省とも連携しなければならないと思います。閣僚としてどのように働きかけるおつもりかお願いします。
答 まずご指摘の自転車につきましては、近年、対歩行者との事故が増加傾向にあるとこういうふうにまず認識をしております。そのことを踏まえまして、警察庁においては、本年の8月以降、有識者検討会を開催してきたところでございます。お尋ねのとおり、このたび、有識者検討会においては、安全教育、違反の処理、交通規制の3点に関して、今後の取組の方向性について提言をする中間報告書が取りまとめられ、提言いただいたところでございます。
このうち、交通安全教育につきましては、官民の知見により、それぞれの年齢層、ライフステージに応じた安全教育に係るガイドラインの策定をいたしまして、安全教育の質の担保をすることが提案されているところでございます。これを実現するためには、教育現場や自治体との連携が非常に重要であるため、関係省庁に対して必要な働き掛けを行っていくよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。
そのようにしっかりと連携をいたしまして、やってまいりたいと思っておりますが、違反の処理につきましては、自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度の対象とすることが提言をされておりますが、制度の運用に当たっては、指導警告をまず原則といたします。これに従わないなどの特に悪質、あるいは危険な違反に限っては青切符による取締りを行うことにより、目的である違反者の行動改善を促すこと、こういった取組をしっかりとやってまいりたいと考えております。問 取締りについては、まず切符を切るということではないということですね。
答 申し上げたとおり、まずはやはり指導警告これを原則といたしておりますので、報道等では即青切符というイメージが残っておりますが、やはり交通ルールを守っていただき、結果的に事故が起こらないことが私どもの目的でございますから、その点については、申し上げたとおりでございます。
国家公安委員会委員長記者会見要旨
実効性のある指導警告
運転に免許を必要としない自転車利用者に対して交通ルールを認識させる機会でもあることから、違反者自らの違反行為の危険性や交通ルールを遵守することの重要性について理解できるよう実効性のある指導警告を行う。
取り締まりの推進
警察官の警告に従わずに違反行為を継続したときや、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたときなどには、積極的に取締りを行う。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf
令和5年12月の国家公安委員長の記者会見でも「報道等では即青切符というイメージが残っておりますが」としてやんわりと牽制してんのよね。
メディアはちゃんと伝えろやと。
しかし令和5年12月の記者会見から一年半経っても、「違反即青切符」というガセネタが横行し、ガセネタに扇動された人たちが陰謀論を語る。
日本が心配でならない。
そして謎なのは、いまさら「普通自転車通行指定部分」に噛みつく人まででてきて、

日本が心配でならない。
けどこれらからみても、陰謀論に扇動されてしまう人が多いんだなと感じますが、
メディアや自称有識者は反省しないのがオチ。
報道は疑ってかかるくらいがちょうどいい気がする。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。



コメント
メディアの扇動で発狂する方は置いておいて、最近気になるのは、技量的にも知識的にも車道走っちゃ駄目な人まで、車道に出てるように感じるところですね。歩道通行青切符なんて扇動すれば、車道走らなきゃと思わせてしまってるような。
コメントありがとうございます。
それは確かに感じますが、そもそも自転車に乗っちゃダメなレベルの人もいますから…
この記事とは関係ないのですが、自転車の道交法についてお伺いしてもいいでしょうか?
ロードバイクではグループライドをすることもあると思いますが、その際に風よけのため車間距離を短くして車列を組んで走行しているのもよく見ますよね。
プロとかもYoutubeでそのような練習風景が見れたりしますが、あれって道交法的には違反になるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
車間距離保持義務違反になりますが、自転車同士の場合は取り締まり対象とはみなしていないようです。
以前現場の警察官に聞いたことがあるのですが、取り締まりしない理由は「自転車だから」程度の話でした。ただし事故が起きたなら車間距離保持義務違反を過失として送検するので…
パブコメに凸している人の気持ちもわからなくはないです
①心理的に切符を切りやすくなる(と思う)
②危険性/悪質性の判断は現場の警察官の裁量でどうにでもなる
③説明されている運用が変わる可能性がある(警察庁の裁量で将来的に変更が出来てしまう)
横断歩道での歩行者妨害が良い例ですよね?
ああ言うのを見聞きしているから
「今はそう言ってるけど信用出来ないなぁ」と思えてしまうのです
コメントありがとうございます。
横断歩行者妨害の例とは何のことを指してますか??
横断歩行者妨害は自転車ではなく
昨今の自動車に対する取り締まりを思って書き込みました
前置きなく話が飛んで分かりにくかったですね
すみません
コメントありがとうございます。
自転車の話ではないことはわかってまして、具体的にどのような事案を指しているのか知りたかったのです。
YouTubeで横断歩道の取り締まり系の動画を見ていると、
今のが歩行者妨害なの?とか
これはどうして歩行者妨害取らないの?とか思うことがあり、
現場の警察官の主観が入っているよなぁと感じた次第です
自転車への切符適用と説明されている「悪質、あるいは危険な違反」も
取り締まりを行う警察官の主観次第でどうにでも出来るのではないでしょうか?
道交法自体に悪質かどうかの絶対的な物差しがなく
警察官が「悪質である」と言ったら悪質になるし
県警の解釈として「こう言う自転車走行は悪質である」と定義したら
悪質な違反になってしまう危うさと言ったら通じますでしょうか?
コメントありがとうございます。
ようやく理解しました。
歩行者妨害の件ですが、「進路の前方を横断しようとする歩行者」は5mという警察基準があるものの、5mだからセーフ、4mだからアウトという法律ではないため、取り締まりは個別に考えるしかありません。
とはいえ、私が知る限り「一般的歩行速度において」目測5m以上離れていたのに検挙した事例を知りません。
要は「似たような状況なのにある人は検挙、ある人は無問題」みたいになることに対する不公平感が前提にあるのかと思ったのですが、そこについてはしょうがない面があるので(平等に検挙するのは人員的に不可能)、それとはまた別問題なんじゃないでしょうか。
現状の取り締まりをみても、例えば自転車の信号無視について「指導警告」と「赤切符」を使い分けてますが、見ている範囲だとその判断はわりと公正だと思ってまして。
https://x.com/tachibana56562/status/1934816641965330758?s=46
こんなこと言ってる人もいて、唖然としますね。
警察やマスコミの説明がよくないのか、新たに禁止行為が多数定められたと誤解してる人が9割くらいな体感です。自転車が無法地帯になるわけですね。
コメントありがとうございます。
結局のところ、「自転車のルールを知らない」というのは国民のほとんどなんですよね。
ガセネタに右往左往するのは滑稽。