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過失割合は「いい・悪い」とは必ずしも必ずしも関係しない。

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こういう事故が起きたときに、過失割合がどうのこうのっていう人いるじゃないですか。

 

先行車の状況に合わせた速度調整義務。
もう、さ。 アホクサ 現場はこのように40キロの指定最高速度の道路ですが、自転車の速度は51キロやら53キロやら… ところでこの件。 左側端に寄せてない(25条1項)で、「できる限り」に該当するような特別な理由も無さそうな状況。 「できる限...

 

そもそも過失割合とは。

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過失割合とは。

過失割合ってある程度類型化されたパターンがありますが、現実にはその通りになるわけではありません。
例えばこちら。

 

「歩行者横断禁止」と過失割合。
ついでなので、「歩行者横断禁止」にも関わらず横断して事故になった場合の、民事の過失割合を判例から。 過失割合には相場がありますが、具体的事情を込みに考えると相場通りになるわけではありません。 民事の過失割合には、道路交通法違反以外の要素も含...

 

「歩行者横断禁止」の規制がある場所で起きた事故のケースですが、歩行者過失は15%~100%までバラバラ。
次に自転車が赤信号無視して起きた事故のケース。

 

無罪≠「100:0」。赤信号無視した自転車。
赤信号無視して突破してくる車両を予見して運転する義務はない、という最高裁判例がありますが、 本件の事実関係においては、交差点において、青信号により発進した被告人の車が、赤信号を無視して突入してきた相手方の車と衝突した事案である疑いが濃厚であ...

 

自転車の過失は50%~100%まであるので、相場通りになるわけでもないし、具体的状況を見て検討される。

 

過失割合ってそもそも、民事の賠償責任の度合いを決めるものですが、必ずしも道路交通法違反の程度を争っているのではなく不注意の度合いを争っている。
なので横断歩道で歩行者が事故にあっても、歩行者に不注意(≠違反)があれば普通に過失相殺されます。

 

結局のところ、相場通りにならないケースも多いので、最終的には争わない限りは判明しないもの。
事故映像が出てきたときに、過失割合の大小なんてわからんもんでしかないし、そんなことよりも双方がやるべき義務を果たせというだけなんだよね。

 

過失の大小で検討すると矛盾が生じるケースなんていくらでもある。
例えばこちら。

 

横断歩行者に過失100%をつけた珍しい判例。
横断歩道がなく、かつ横断禁止ではない道路の場合、民事上では車にもかなりの過失がつきます。 目安は歩行者:車=20:80。 ところが、横断歩行者に過失100%とした珍しい判例もあります。 横断歩行者に過失100% ※画像と事故現場は関係ありま...

 

横断歩行者とクルマが衝突した事故ですが、過失割合はこちら。

歩行者 クルマ
100 0

なお、クルマは10キロ程度の速度超過です。
過失0%になったから最高速度遵守義務が帳消しになるわけではない。
単に金銭賠償上の問題でしかないのだから。

 

過失割合でみたら、下記は自転車が100%悪いという結果に陥る。
それがいかに無意味なのかはわかると思うけど、過失割合で善悪を判断するのは無理がある。

 

バスが自転車を追い越し後、幅寄せ!という判例。
車道を走るロードバイクにとって、されたくないプレイの一つに、バスが追い越し→バス停に向けて左寄せ→結果的に幅寄せになることがあります。 実際のところ、ロードバイクがガッツリ巻き込まれない限りは「単に危険だった」で終わってしまいますが、きちん...

 

所詮は結果論に過ぎないわけですが、結果(事故)が起きないように注意するのが交通関与者の努めとしか。
仮に判決によって過失割合が相手方より相対的に小さくなったとしても、だからといって義務まで帳消しにするわけもない。
結果論なんて争わない限り確定しないことですが、「それ以前の義務の話」と混同させてしまう人っているよね。

 

民事責任をベースに考えると、このように被害者には何ら道路交通法違反がない事例でもイーブンに捉える結果になりますが、

 

先日の判例についてちょっと補足。
先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提から。 ・原告(ロードバイク)は車道を通行していた。 ・被告(自転車)は歩道を通行していた。 ・歩道には配電ボックスがあり、被告の身長...

 

金銭賠償上イーブンでも、義務で見たらイーブンにはなり得ない。
下記も過失割合で考えると、自転車の逆走が免責になる…わけもない。

 

逆走自転車と衝突したのに、順走自転車が過失100%??
ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなのですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故で、順走側に過失100%を付けている判例を紹介していました。 古い記事のようですし、何か...

 

ほかにも、横断歩道外を斜め横断して起きた事故について、クルマの運転手は刑事責任は有罪、民事責任は無過失なんて判例もありますが(横浜地裁 昭和43年9月4日判決)、民事責任が無過失だから義務違反まで免責になるわけもない。

 

やるべきことはそれぞれきちんとやれ、というだけなんだし、民事責任の大小は金銭賠償の大小でしかない。

刑事責任は有罪、民事責任は無過失

まあまあ珍しいのかなと思いますが、横断歩道が付近にあるにもかかわらず横断歩道外を斜め横断して起きた事故について、運転者は通行区分を遵守し、徐行義務や前方注視義務など道路交通法所定の義務を果たしていたとして、民事責任は無過失と認定した判例があります。

なお被告は金二万円の罰金刑が確定していることは<証拠略>により認められるが、それのみによつて被告の過失を断定し前記認定を拘束することはできない。

 

横浜地裁 昭和43年9月4日

事故について、刑事は有罪、民事責任は無過失。
過失割合で捉えたら全部歩行者が悪いとなりますが、だからといって刑事責任を否定することにはならない。
なお、刑事裁判の認定と民事裁判の認定が食い違うことについては最高裁が認めている話。

 

所論は本件事故に関する刑事判決を云為するが右判決の内容が如何ようにもあれ、原審としてこれに一致する判断をしなければならない筋合はなく、また右判決と一致しない事実認定をするについて第一審判決の説明以上の場面を附け加えなければならないわけもない。

 

最高裁判所第一小法廷 昭和34年11月26日

下記事故についても、民事責任でみたらイーブンになっちゃうけど、

 

先日の判例についてちょっと補足。
先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提から。 ・原告(ロードバイク)は車道を通行していた。 ・被告(自転車)は歩道を通行していた。 ・歩道には配電ボックスがあり、被告の身長...

 

中身を見て、義務違反の程度がイーブンだと感じる人はまずいないでしょう。
民事責任ってそもそも、「過失」の概念がかなり広いわけだし、義務違反の程度とは関係ない。
過失割合の大小なんてそんなもん。

 

これもそうか。

 

路線バスを自転車が追い越そうとして接触した判例。
ロードバイクに乗っていて注意しなければならないのが路線バスの存在。 バス停で停車していた路線バスを自転車が追い越そうとしたときに、路線バスが動きはじめて接触したという判例があります。 路線バスとロードバイクの接触事故 判例は東京地裁 平成2...

 

道路交通法違反の程度で見れば路線バスのほうが分が悪い。
それは裁判所も認めている。
しかし過失割合はロードバイクが70%。
過失の大小でみたらロードバイクが悪いことになりますが、だからといって路線バスの発進時後方確認義務が帳消しになるわけでもない。
結局、過失の大小により「小」の過失を打ち消すわけじゃないのだから、双方やるべきことをやるしかないよね。

 

保険会社の過失割合認定に納得行かずに裁判してみたら、もっと悪くなったなんてことは普通にあるし、過失割合なんて水物。
下記も過失割合で考えると、自転車の逆走が「悪くない」ことになりますが、それがいかに不合理なのかは言うまでもない。

 

逆走自転車と衝突したのに、順走自転車が過失100%??
ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなのですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故で、順走側に過失100%を付けている判例を紹介していました。 古い記事のようですし、何か...

 

このような違いを理解してないと、支離滅裂になる。
義務の話なのか(刑事責任の注意義務含む)、金銭賠償(不注意含む)の話なのか?
どちらにせよ、他人がどうとかの前に自分に課された義務を粛々とやるだけ。
真の無過失って、刑事責任無し、民事責任無過失だけなんだろうけど、上で挙げた横断歩行者の判例(新潟地裁長岡支部)については刑事責任は不起訴、民事責任は無過失。
けど速度超過はある。

 

無過失だから速度超過が許されるわけじゃないんだよな。
そう考えると、やはり他人がどうこうとか事故って結果論を考えるのではなく、自分の義務を粛々とやるだけだけでしかないし、民事の過失割合の大小なんてそもそも確定してない話をすること自体が不合理なんでしょうね。

 

所詮は私法での関係だから、お互いに同意しているなら仮に30:70が相場だろうと0:100で示談してもかまわない。
それが民事の過失割合。


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