「子供は飛び出すもの」というのがもはや常識ですが、事故の判例です。
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子供の自転車が飛び出し
判例は横浜地裁 令和3年6月28日。
ざっくり書くと見通しが悪い生活道路のT字路でこう。
赤自転車側には道路管理者が設置した「一時停止」(公安委員会の規制ではない)。
自転車は6歳の子供です。
さて、このような事故についてですが、双方の義務はなんでしょうか。
もう、あれですよね。
アレですよ!
クルマ | 自転車 |
見通しが悪い交差点の徐行義務(42条1号) | できる限り左側端に沿って徐行(34条1項) |
以前も書きましたが、見通しが悪い交差点(信号交差点と優先道路を除く)で徐行義務を課している理由は、要は歩行者も含めた飛び出し警戒。
過失割合は子供ということを考慮してこのようにしています。
自転車(子供) | クルマ |
50 | 50 |
で。
子供の自転車(6歳)です。
うちをよく見ている方はピンと来るかと思いますが、アレですよね。
アレ。
もちろん「小児用の車」の件です。
小児用の車に乗る子供は道路交通法上は歩行者になりますが、判決文を見る限り「小児用の車」と明言して主張したのかは定かではありませんが、6歳だから歩行者同等とみなすべきと主張がなされています。
これについて裁判所は否定。
小児用の車について取り上げてから、何件か「以前うちの子が事故に遭ったときに」みたいな話を頂いたのですが、保険会社同士の示談交渉だと「小児用の車(歩行者)」はあまり重視されてないような気がしました。
これもそうか。
もしかしたら保険会社基準だと6歳以上は一律でバッサリ切り捨てている可能性もありますが、もしかしたら「知らない」可能性もあります。
自転車の類型に入るものであつても、「小児用の車」にあたれば、これに乗つて進行している者は歩行者とされ
福岡高裁 昭和49年5月29日
小児用の車についてですが、確かに道路交通法上は歩行者です。
あくまでも子供を保護するために特例的に定めたと考えられますが、少なくとも昭和20年代の「道路交通取締法」時代から歩行者扱いのわりには定説がない。
ただまあ、小児用の車が問題になるとしたら横断歩道での優先権になるか、事故後の過失割合になるかくらいだと思いますが、横断歩道については大人として子供を優先保護しましょう。
小児用の車なのか自転車なのかは結果論ですから。
とりあえず冒頭の事故についてですが、
正直なところ、大人が徐行して交差点に進入してもタイミング次第では回避不可能です。
そもそも徐行してないのは論外ですが、6歳に飛び出すなと繰り返し言ったところで飛び出します。
なかなか難しい話ですが…
徐行義務の大事さ
見通しが悪い交差点での徐行義務ってかなり大事ですが、基本過失割合って「徐行してなかった前提」で組まれていたりします。
逆に完璧に徐行していたら無過失になるかと聞かれると、完璧に徐行していても回避不可能ならばワンチャンありますが、現実的には難しいでしょう。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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