ちょっと前になかなかなご意見を頂きまして。

クルマと自転車、どっちが違反が多いか?という論点に何の意味があるのかわかりかねますが。
Contents
クルマによる優先道路の進行妨害
「クルマと自転車、どっちが違反が多いか?」という論点に何の意味があるのかわからないし、どの立場でもやることをやれやとしか思ってないのですが、「クルマが」優先道路の進行妨害をした事故(相手方を問わず)はまあまあ多いイメージ。



先日の時速100キロ逆走事故にしても、事故の直接的な原因は優先道路の進行妨害ですが…
たぶんですが、自転車はチョロチョロ動くから目立つ程度の話だと思いますよ。
どの立場でも優先道路の進行妨害がダメなのは当たり前。
被告人は,
第1平成17年3月24日午後7時24分ころ,業務として普通乗用自動車を運転し,岡山県倉敷市新倉敷駅前(以下略)先の交通整理の行われていない左右の見通しの困難な交差点を船穂町方面から玉島道越方面に向かい時速約40キロメートルで進行するに当たり,前方の道路状況を確認するとともに交差道路の安全を確認すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,本来であれば28.2メートル前方から前記交差点があることが分かるのに,遠方を望見していて前記交差点に気付くのが遅れ,左右道路の安全を確認しないまま漫然時速約40キロメートルで進行して同交差点に進入した過失により,折から左方の玉島方面から進行してきたB(当時54歳)運転の自転車に衝突直前まで気付かず,同車右側部に自車右前部を衝突させて同人を路上に転倒させ,よって,同人に左急性硬膜外血腫,脳挫傷の傷害を負わせ,同日午後11時28分ころ,同市玉島勇崎(以下略)C病院において,同人を前記傷害により死亡させた
(量刑の理由)
1 本件は,被告人が夜間,降雨の中,駅前地域において,交差する優先道路を自動車で横断進行する際,道路状況の確認不十分により,遠方を望見して交差点自体に気付かず,低速度とはいえない速度で優先道路を進入横断した過失により,折から交差優先道路を傘をさし,無灯火の自転車で進行してきた被害者を自車前部に衝突させて路上に転倒させて,当日のうちに死亡させた業務上過失致死の事案,及び,被告人が故意に被害者を救護せず,事故報告を行わなかった道路交通法違反(ひき逃げ)の事案である
岡山地裁倉敷支部 平成17年9月9日
判例なんて探せばいくらでもありますが…「どっちが多いか?」を競うことに何の意味があるのやら。
なお、自転車が優先道路の進行妨害をした事例ももちろんいくらでもある。
ところで。
過失の処罰規定がない
優先道路の進行妨害(36条2項)って道路交通法上は故意の処罰規定しかなく、過失、つまり優先道路を通行する車両を十分確認しないまま結果的に進行妨害した場合には36条2項(119条1項6号)の罪は成立しないことになる。
とはいえ、安全不確認(過失)により結果的に進行妨害して事故を起こせば安全運転義務違反(過失犯)として処理され(最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月19日)、過失運転致死傷罪にも問われる。
要は過失による違反の処罰規定がない規定については、事故を起こせば過失運転致死傷罪として刑罰があることになりますが、交通事故に伴う違反にやたら安全運転義務違反が並ぶ理由もそれ。

違反統計をみてもあまり意味がないのは、事実上「進行妨害」が安全運転義務違反に吸収されちゃうからなんですね。
実態として進行妨害事案がどれだけあるかはわからない。
結局「どっちの違反が多いか?」については知りようがないのですが、そもそも「どっちが多いか?」なんて話よりも、どの立場でも守りましょうが唯一の正解なんだと思いますよ。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント