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なぜ?国賠訴訟で法解釈に踏み込まない可能性がある理由。

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以前も書いた件ですが、

なぜ「国賠訴訟」は厳しいのか?38条2項の解釈に国賠訴訟を仕掛ける意味。
38条2項の解釈について、藤吉先生が国賠訴訟をすると宣言してましたが、こちらにご意見を頂きました。なぜ国賠訴訟なのか、なぜ厳しいのか、「解釈を聞ける可能性」とはなんなのかについて藤吉先生が説明してなかったので、たぶん分かりにくいだろうなと思...

質問を頂きました。

読者様
読者様
藤吉先生の最新の動画を見ましたか?
国賠訴訟をしても38条2項の解釈に踏み込まずに終わるかもと解説してますが、ますます意味がわからなくなりました。
わかる範囲でその理由を教えていただけませんか?

うーん…

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なぜ?国賠訴訟で法解釈に踏み込まない可能性がある理由

そもそも間違いやすいポイント。
国賠訴訟って「違反を取り消せ」ではなくて、「カネ払えやゴルァ」なんですね。

第一条
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる

あくまでも争点は「カネを払う義務があるか?」になってしまう。
要件を整理します。

 

①「違法に他人に」

この場合だと、「38条2項を間違った解釈をして検挙したこと」を違法だと主張するものと思われます。

 

②「故意又は過失によつて」

いかなる故意や過失があったかを立証するのは原告。

 

③「損害を加えた」

このケースでは反則金を払ってないため、金銭的な損害はない。
なので、「精神的苦痛」(?)を主張するのでしょうか?

 

国賠訴訟は立証責任が原告にありますが、裁判の仕組み上、原告の主張に対し被告(警視庁)が反論する形。
法解釈の正当性が論点ではなくて、あくまでもカネを払う義務があるか?が国賠法の争点になるわけ。

 

38条2項の解釈って、道路交通法ハンドブック(警察庁交通企画課)、執務資料(野下解説)、注解道路交通法(宮崎注解)など著名な解説書をみても「対向車を含まない」と明言しているわけではない。
(ただし元検察官二名は「対向車を含まない」と著書で解説している)

 

著名な解説書で明言していない以上、仮に38条2項の正しい解釈が「対向車を含まない」だったとしても、解釈を間違えたことが国賠法上の「過失(不注意)」と言えるのか?という話になってしまい、過失によって法解釈を誤ったのではなく単なる見解の相違に過ぎないとなりうる。
そうだとすると国賠法上は「請求棄却」になるわけで、裁判所はわざわざ38条2項の解釈に踏み込むまでもなく棄却なのよ。

 

国賠訴訟自体は絶対に勝てないけど、判決文の中で38条2項の解釈に言及してもらえれば「試合に負けたけど勝負には勝った」になるし、狙いはそこだと以前書いた通り。
あくまでも国賠法上「違反を取り消せ」ではなく「カネを払えやゴルァ」にしかならないのよね。

 

単なる見解の相違だと「過失(不注意)」により違法な検挙をしたわけではないので、当然被告側もそういう方向に持ち込むでしょう。

 

原告「38条2項に対向車を含まない!」

 

と主張し様々な根拠を挙げたとする。
被告側はあくまでも国賠法上の要件に沿って「カネを払う義務がないこと」を主張すればよく

 

被告「2項の正確な解釈は置いといて、法令解釈における見解の相違は国賠法上では過失ではない。だから仮に解釈が間違っていたとしてもカネを払う理由がない」

 

と主張することすらありうる。
そうなると38条2項の解釈に踏み込むことなく裁判が終了する可能性もあるので、かなり難しい問題なのよね。

国賠訴訟は難しい

この件について「執務資料を見る限り国賠訴訟には勝てません!」みたいな解説をしている人もいたけど、この件で国賠訴訟に勝てないのはある種当たり前で、その理由は道路交通法の解釈ではないのよね。
理由として「執務資料」というくらいなので、何が問題で勝てないのかわかってないのでしょう。

 

うまく論点を38条2項の解釈に持ち込まないと話になりませんが、そこが難しい。
参考になるとしたら、反ワクチン訴訟での被告国の答弁書。
ネット上で公開されてますが、原告の主張には踏み込まずに「訴訟要件を満たさず不適法な訴え」と主張するのみ。

 

日本の法律上、「違反点数を取り消せ」という行政訴訟は不適法却下になります。
あくまでも「免許取消処分を取り消せ」か「ゴールド免許を返せ」という形じゃないと審理に入らない。
国賠訴訟はさらにややこしく「違反を取り消せ」ではなく「カネを払えや」にならざるを得ないため、争点がズレる。

 

以前、道路交通法19条(軽車両の並進)の解釈は執務資料と警察庁で異なることを書いてますが、昭和39年に新設した条文の解釈が令和になっても定まってないのはなかなか異常。
要は検挙→起訴→裁判という過程じゃないと法解釈は争えないわけで、38条2項の解釈についても起訴してもらえないと事実上争う場所がないのよね…

 

まあ、元検察官二名がそれぞれの著書で「対向車を含まない」と解説していて、

38条2項は対向車を含むか?元検察官の意見は。
以前どこかで書いた気がするけど、38条2項の解釈として「対向車を含まない」と書いてある解説書もあります。この問題はそもそも、様々な資料や判例、他条との兼ね合いから矛盾や整合性を考える問題だと書いてきましたが、元検察官の意見を確認しましょう。...
違う検察官も「対向車を含まない」と。
こちら。元検察官で、名古屋地検交通部長、横浜地検交通部長、東京地検交通副部長、広島高検刑事部長などを歴任した互敦史氏の「基礎から分かる交通事故捜査と過失の認定」によると、道路交通法38条2項は対向車を含まないとする。○「横断歩道又はその手前...

立法趣旨や判例、3項との整合性からも対向車を含まないし、

38条2項問題は、ロジカルに全ての整合性を考える必要がある。
38条2項の解釈として、対向車が停止している場合を含むのか?という問題がありますが、この問題、かなりいろんな資料を挙げて整合性を検討してきました。要はこの話、全ての面で整合性を考えないとどこかで辻褄が合わない話になり、感情論にしかならない。...

数年前まで警察庁が「対向車を含まない」と回答していたのに、

38条2項の警察庁解釈、「対向車に適用できない」と書いてありますが…
先日の件。38条2項の解釈問題は2年前に散々やってまして、以下を総合判断すると、対向車を含まないと捉えるのが妥当だと考えてました。・立法趣旨(昭和42年警察庁交通企画課、警察学論集)・札幌高裁(S45.8.20)、東京高裁(S46.5.31...

何がどうなると急に解釈を変更するのか、理解不能。
存在しない前提を創作する人とかいるけど、

変な解説。
こちらで取り上げた件。その動画についていろいろ質問を頂いたのですが、要はこれの話ですよね。名古屋高裁判決はこれ。原判示道路は、道路標識等によつて駐車が禁止されているし、原判示自動車の停止位置は、道路交通法44条2号、3号によつても停車及び駐...

心配になる。
わざわざガセネタを創作する人の心理については、理解し難い。

コメント

  1. しまなみ最高 より:

    私も藤吉先生の動画でこの問題を知った口なのですが、最近警察がかなり暴走気味な気がしてなりません。
    勝手な法解釈、拡大解釈で「俺たち悪くないもん」ってやっているようにしか見えないんですよね。
    しかも、それを既成事実化していくという。
    国賠で無理なのであれば(まあ無理だと思いますが)、では何をやれば警察の暴走(法に依らない勝手な取り締まり)を防ぐ事ができるんでしょうか。
    最高裁判官であれば、有名無実化しているとはいえ国民審査がありますが、警察にはそういう「第三者の目」というものが働かないですよね?

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      うーん…正直なところ手段がないので、起訴してくれたほうがはっきりするんですよね。
      法解釈は見解の違いと言われてしまうと、見解の違いはややこしくなります。

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