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大分地裁「危険運転致死」の判決文にみる進行制御困難な高速度。

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時速194キロで直進し右折車と衝突した件について、大分地裁は危険運転致死(進行制御困難な高速度)を認めましたが、

大分地裁判決は、立法趣旨や名古屋高裁判決と矛盾しない。
以前も書いた件。大分地裁判決は「進行制御困難高速度」危険運転致死を認めたわけですが、この判断が立法趣旨や名古屋高裁判決と矛盾するのか。名古屋高裁判決はこちら。所論は,法2条2号の解釈について,進行制御困難性の判断要素の一つである「道路の状況...

判決文が公開されました。
以前書いた内容そのまんまですが…検察官が起訴したのは「進行制御困難な高速度」と「通行妨害目的」の二点。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
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進行制御困難な高速度

以前書いたように、この判決では「高速度過ぎて対向右折車を避けられなかったか?」が論点ではない
条文の趣旨があくまでも「道路のカーブ等に沿って進行することができないような高速度か?」なので、立証したのは「道路の荒れに沿って進行制御が困難な高速度かどうか?」になっている。

2 本件道路の平たん性
関係証拠によれば、本件道路のような一般道路のアスファルト舗装の耐用年数は、およそ10年といわれており、特に、制動加重がかかる交差点手前や橋の前後、交通量(とりわけ貨物車の通行)が多い道路は、わだち割れ(車両のわだち部分の凹凸)が生じやすく、傷みやすいところ、本件道路のうち被告人車両が本件事故直前に進行した本件交差点までの区間は、平成16年以降改修舗装歴がなかったこと、もっとも、10年経過すれば必ず補修を要するわけではなく、ポットホールと呼ばれるアスファルト舗装の凹みや穴がいくつもできたり、車のハンドルがとられるような凹凸ができたりしない限り、大規模な補修は行われない実情にあること、道路を造る際のアスファルト舗装の平たん性の基準については、表層の凹凸が一般道路では2.4mm以下、高速道路では1.3mm以下とされており、サーキット場では更に厳しい条件が付されることが認められる。
こうした事情に照らすと、本件事故当時の本件道路には、補修を要しない程度のわだち割れが本件交差点付近等に存在していたと推認でき、本件事故の6日後に撮影された本件交差点付近(被告人車両が本件事故直前に進行した区間)の写真に停止線の歪みや水たまりが写っていることも、この評価を支えるものといえる。なお、警察官が本件事故の約1か月後に作成した実況見分調書には、本件道路の路面が平たんであるとの記載があるが、これは、特段の異状がなかったことを意味するにすぎないと考えられるから、前記の評価を左右しない。

3 自動車の走行場所及び速度と自動車の揺れの強さ及びハンドル操作回数の関係性
関係証拠によれば、捜査機関は、令和6年5月20日、捜査用車両を使用し、警察官2名に、本件道路において時速60kmで走行させた上、サーキット場において時速60km及び時速140ないし150kmで走行させて、車両の揺れ及びハンドルの操舵角を計測する実験を実施したところ、同じ速度(時速60km)で本件道路及びサーキット場を走行した場合、一定角度を超えるハンドル操作の回数は本件道路の方が多く、同じ場所(サーキット場)で走行した場合、速度が上がれば(時速60kmと時速140ないし150km)、車両の揺れが大きくなり、一定角度を超えるハンドル操作の時間当たりの回数が多くなるという結果が得られたことが認められる。

この点、弁護人が主張するとおり、本件道路における走行実験は、本件事故から3年以上経過した後に実施されたものであり、路面の状況が本件事故当時と同一であるとはいえないこと、使用車両が被告人車両と同種ではないことなどを考慮すると、前記の実験結果は、本件事故当時の被告人車両の揺れの有無・程度や被告人のハンドル操作状況を具体的に推認し得るものではないが、一般的に、自動車は、速度が速くなると、揺れが大きくなり、運転者のハンドル操作の回数が多くなる傾向があるという限度では、その証拠価値を肯定できる。

4 自動車の速度及び夜間運転と視力・視野の関係性
証人B(C大学D学部E専攻准教授)は、「自動車の速度が速くなると、運転者の視力が下がり、視野が狭くなる。その理由は、オプティカルフロー(視野内の画像情報の流れのようなもの)が速くなり、画像のぶれが生じ、明暗比が低くなる、見えにくくなったものなどに注意資源が割かれる、動体視力が低下するためである。
また、自動車を夜間に運転する場合も、視野が狭くなる。その理由は、視細胞のうち、視力や奥行き知覚、動体視力等に関係する錐体細胞の働きが弱くなる、光を取り込もうとして瞳孔径が大きくなり、角膜や水晶体の収差が増加することによって映像がぼやけるためである。もちろん、視力・視野への影響の程度は個人差があるが、速度が速くなったり暗くなったりすると視機能が下がることは、万人共通の生理的なメカニズムである」旨の所見を示しており
、同証人の視能検査学者としての専門性に疑いはなく、これを採用し得ない合理的な事情は認められない。
この所見によれば、一般的に、自動車の速度が速くなる、あるいは、自動車を夜間に運転すると、運転者の視力が下がったり視野が狭くなったりする傾向があることが認められる。

ここまでが認定された事実。
では裁判所の判断はこちら。

第3 検討
1 法2条2号の罪の成否
法2条2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」とは、速度が速すぎるため、道路の状況に応じて進行することが困難な状態で自車を走行させることを意味し、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の状況や車両の構造・性能、貨物の積載の状況等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて事故を発生させる実質的危険性があると認められる速度で自車を走行させる行為をいい、この概念は、物理的に進路から逸脱することなく進行できない場合のみならず、操作ミスがなければ進路から逸脱することなく進行できる場合も含まれることを前提としていると解するのが相当である(東京高裁令和3年(う)第820号同4年4月18日判決参照)。なお、本罪が捉える進行制御困難性は、他の車両や歩行者との関係で安全に衝突を回避することが著しく困難となる、すなわち、道路や交通の状況に応じて、人の生命又は身体に対する危険を回避するための対処をすることが著しく困難となるという危険(対処困難性)とは質的に異なる危険性であることに留意する必要がある。
そこで検討すると、① 本件道路は、高速道路ほどの平たん性が元々要求されていない一般道路である上、被告人車両が進行した区間は15年以上改修舗装歴がなく、特段の異状と目されず、補修を要しない程度であるとはいえ、わだち割れが本件交差点付近等に存在していたと推認できること(前記第2の2)、② 被告人車両が進行した第2車両通行帯の幅員は3.4mであるのに対し、被告人車両の幅は177cmであり、左右の余裕は81.5cmずつしかなかった上、同車両通行帯の右側は外側線・側帯がなく、中央分離帯の縁石に直接接していたこと(前記第2の1⑵⑷)、③ 一般的に、自動車は、速度が速くなると、揺れが大きくなり、運転者のハンドル操作の回数が多くなる傾向があり、かつ、自動車の速度が速くなる、あるいは、自動車を夜間に運転すると、運転者の視力が下がったり視野が狭くなったりする傾向があるところ、被告人は、夜間であり、付近がやや暗い本件道路において、法定最高速度の3倍以上の高速度で被告人車両を走行させたこと(前記第2の1⑴⑵、3、4)、④ 本件道路は、一般道路であり、道路構造・交通特性上、高速道路のような一定速度での円滑・連続的な通行を予定していない上、住宅街・工場地帯に所在し、右折・横断・転回車両や横断歩行者(自転車)、先行車両の減速・停止があり得る信号交差点、車道と直接接する歩道等が存在していたところ、本件当時、本件道路の中央分離帯より北側の車道を東進していた車両が被害者車両以外にも複数台存在したこと(前記第2の1⑴⑶)などを考慮すれば、被告人が前記のような高速度での被告人車両の走行を続ける場合、直線道路である本件道路であっても、路面状況から車体に大きな揺れが生じたり、見るべき対象物の見落としや発見の遅れ等が生じたりし、道路の形状や構造等も相まって、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスが起こり得ることは否定できない。
その上で、前記の諸事情、特に、①②のような本件道路の状況、③のような被告人車両の速度に加え、被告人車両の最高速度が時速250kmであることは、エンジンの性能上当該速度を出すことが可能であることを意味するにすぎず、その走行安定性が格別高かったことを疑わせる事情が見当たらないことも併せ考慮すると、被告人が前記のような高速度での被告人車両の走行を続ける中、ひとたび前記のようなハンドルやブレーキの操作ミスが起これば、例えば、被告人車両が第2車両通行帯から瞬時に逸脱し、立て直しが困難となって蛇行・スピンするなどした結果、本件交差点を対向右折進行してきた車両に衝突するなどの事故が発生する事態が容易に想定できる。この点、プロレーサーとして活躍した経歴があり、現在はサーキット場のインストラクター等を務めている証人Fも、高速度走行の豊富な経験やプロレーサーとしての知識を踏まえ、被告人車両と同種の車両が本件道路を時速約194.1kmで走行している際にハンドルやブレーキの操作ミスが起こったことを仮定した場合の当該車両の動き等について、前記のような想定と同旨の供述をしており、前記の評価を支えるものとして首肯できる。
これに対し、弁護人は、被告人車両は本件道路に沿って直進走行できていた旨主張し、被告人は、本件道路を含めた一般道路を時速170ないし180kmで走行したことが複数回あるが、その際、自動車が進路から逸脱したことも、ハンドルやブレーキの操作に支障が生じたことも、危険な思いをしたこともなかった旨供述する。しかし、現実には自車を進路から逸脱させることなく進行できた場合であっても、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて事故を発生させる実質的危険性があると認められる速度での走行である限り、「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」に該当することは、前記のとおりであるし、被告人の供述は、それまで一般道路において高速度走行をした際にハンドルやブレーキの操作ミスをしたことがなかった旨をいうものにすぎず、前記の評価を左右しない。
以上によれば、被告人が時速約194.1kmの速度で被告人車両を走行させて本件交差点に進入した行為は、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて事故を発生させる実質的危険性があると認められる速度で自車を走行させる行為といえるから、法2条2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を運転する行為」に該当する。
⑵ そして、本件の事実関係に照らすと、被告人が法定最高速度を遵守した適切な運転行為をしていれば、本件事故の発生を確実に回避することができたと認められるところ、被告人において、前記危険運転行為の後、更に別個の交通法規違反行為が介在したという事情はなく、他方、被告人車両の速度超過の程度に照らし、被害者車両の右折進行態様が不適切・不相当であったともいえないから、本件事故は、被告人の運転行為の危険性が現実化したものであり、被告人の運転行為と本件事故との間には因果関係があるといえるし、被告人は、本件道路の状況や、被告人車両が著しく速い速度で走行していることといった進行の制御の困難性を基礎付ける事実を認識しながら、前記危険運転行為に及んだものと認められるから、法2条2号の罪の故意に欠けるところはない。

大分地裁 令和6年11月28日

以前取り上げた東京高裁判決の趣旨を引用し、「路面の荒れや視野狭窄などから、本件道路で194キロは進路を逸脱するおそれがある高速度」と認定。
で、危険運転致死罪は柱書きに「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は」としているので、進行制御困難な高速度と事故発生の間に因果関係が必要ですが、

被告人において、前記危険運転行為の後、更に別個の交通法規違反行為が介在したという事情はなく、他方、被告人車両の速度超過の程度に照らし、被害者車両の右折進行態様が不適切・不相当であったともいえないから、本件事故は、被告人の運転行為の危険性が現実化したものであり、被告人の運転行為と本件事故との間には因果関係があるといえる

としている。
勘違いしやすいのは、高速度で進行し横断車両と衝突した名古屋高裁判決とは立証趣旨が全く違うこと。
名古屋高裁判決は「横断車両により進路が狭くなることに対応できる速度か?」を問題にしたため失敗してますが、大分地裁判決はあくまでも道路の状況に対応できる速度か?を立証したので全く違う。

 

事故現場道路を通行するにあたり、路面の荒れや視野狭窄などから「コースに従って進行できる速度だったと言えるか?」を問題にした点では従来の判例とは異なる視点。
実際にコースに従って進行できたという結果論ではなく「制御困難」か否かの問題なので「進行制御が困難な高速度」と認定されましたが、若干怪しいとすれば「よって」の解釈かもしれません。

 

控訴審がどう判断するかは何とも言えない。

通行妨害目的

次に通行妨害目的について。

2 法2条4号の罪の成否
⑴ 前記のような被告人車両の速度や本件交差点への進入形態等に照らし、被告人は、重大な交通の危険を生じさせる速度で、被告人車両を右折進行中の被害者車両の直近に移動させたものと認められる。
⑵ ところで、法2条4号の「人又は車の通行を妨害する目的」とは、歩行者又は道路上を通行する車全般に自車との衝突を避けるために急な回避措置をとらせるなど、相手方の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図することをいい、これらについての未必的な認識、認容があるだけでは足りないと解するのが相当である。
そこで検討すると、前記第2の1⑵の事実関係及び被告人の公判供述によれば、被告人は、本件当時、被告人車両を運転して直進車優先の本件道路の第2車両通行帯を西進し、被害者車両との衝突地点の手前約728mの地点において、被告人車両の前後及び対向車線を進行する車両は存在しないとの認識の下、アクセルを強く踏み込み始めるとともに、前方の状況を確認すべく前照灯をハイビームにし、同衝突地点の手前約331mの地点で本件交差点の対面信号機が青色を表示しているのを確認した後、時速約194.1kmの速度で被告人車両を走行させて本件交差点に進入したものであり、その際、対向右折進行してきた被害者車両に対して積極的にその通行を妨げる動機があったことをうかがわせる事情もないから、被害者車両の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図していたとは認められない。
これに対し、検察官は、本件道路は、対向右折車両が来ることが当然に想定される道路であること、時速約194.1kmという速度による走行は、当然に対向右折車両と衝突するか、衝突を免れるとすれば同車両に急な回避行動をとらせるほかない行為であること、そもそも被告人車両にとっては対向右折車両に気付くこと自体が困難であること、被告人がこれらの事情を認識していたことから、被告人には、対向右折車両等が存在した場合、同車両等の通行の妨害を来すのが確実であるとの認識があったといえ、このような認識がある場合にも「人又は車の通行を妨害する目的」があると認められる旨主張する。
しかし、検察官の主張は、通行妨害目的の対象車両の認識は未必的であってもよいことを前提としているが、同目的の要件は、客観面で通行を妨害する危険性が存在していることを前提とした上で、主観面で、そのような危険性の認識・認容を超えて、相手方の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図している場合に、法2条4号の罪の成立を限定する面にその意義があるから、それとの関係上、飽くまで妨害することの認識ではなく対象車両の認識であるとはいえ果たして未必的であってもよいのか疑問が残る。その点は差し置いても、被告人において、真実、本件交差点に存在する対向右折車両等の通行の妨害を来すのが確実であると認識していたのであれば、被告人車両の速度に照らし、対向右折車両等との事故を発生させて自身の生命や身体を危険にさらすこともまた十分認識し得たことになるが、そのような危険を冒してまで高速度走行に及ぶ意思を有し、現に高速度走行に及んだものとは認め難いから、対向右折車両等の通行の妨害を来すのが確実であるとの認識があったと推認するには合理的な疑いが残る。
結局、本件の事実関係の下においては、弁護人も主張するとおり、被告人が、被告人車両を運転して本件道路を直進する際、場合によっては対向車線から本件交差点を右折進行する車両があり、場合によってはこれらの車両が急ブレーキをかける必要が生じる可能性があると考えていたこと(被告人の供述も同旨である。)を認定し得るにとどまるから、被告人に「人又は車の通行を妨害する目的」があったとは認められない。

通行妨害目的については未必的な認識があれば足りるとした大阪高裁判決もありますが、

なぜ「通行妨害目的」の危険運転致死を含めたか?
大分の時速194キロ直進車が対向右折車に衝突した事故の初公判が開かれますがこの件、危険運転致死を主位的訴因とし、予備的に過失運転致死を主張するらしい。危険運転致死は「進行制御困難高速度(2号)」と「通行妨害目的(4号)」を主張するそうですが...

大分地裁は未必的な認識では足りず、積極的に妨害意思が必要と判断。
検察官が控訴した趣旨はこの部分の解釈だと思うけど、ここはわりとビミョーかも。

東京高裁判決の趣旨

進行制御が困難な高速度の認定について、大分地裁は東京高裁判決の趣旨を引用している。
だいぶ前からこの判決には注目してまして、

「限界旋回速度」と「進行制御困難高速度」は必ずしも一致しない。
以前書いた件ですが、危険運転致死傷の進行制御困難高速度については、カーブの場合「限界旋回速度」(カーブを曲がりきれるギリギリのスピード)を上回っていたか?が争点になることが多い。(危険運転致死傷)第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負...
危険運転致死と「進行を制御することが困難な高速度」。
危険運転致死の「進行を制御することが困難な高速度」とは、道路のコースに沿って進行できるか?が判断になるとされますが、コーナーの限界旋回速度を越えていたかどうかが判断の分かれ目とも言われます。高速度制御不能限界旋回速度以下でも、限界旋回速度に...

限界旋回速度より20キロ下でも進行制御が困難な高速度と認定している。
この判決は後々意味をなすのではないかと思ってましたが、大分地裁は東京高裁判決の趣旨を引用していることからも大事。
ただし裁判所ホームページや解説書は未掲載なので、あまり知られていない。

 

ところでこの事故、右直事故であるから右折車にも非がある、みたいな話をする人がいてびっくりしますが、

被害者車両の右折進行態様が不適切・不相当であったともいえない

少なくともこの事故については、右折車の右折に問題がなかったとの認定。
「右折する際には特別な事情がある場合を除き、著しい高速度の直進車を予見する注意義務はない」という信頼の原則が確立されているので、「きちんと安全確認してから右折したのに著しい高速度で衝突した」という場合には右折車に過失がないことになる。

道路交通法37条の直進車優先と判例。直進車が暴走しても直進優先?
ちょっと前にも書いたのですが、まとめておきます。第三十七条 車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。※直進車が違法走行した事例をメインに...

じゃあ苫小牧の時速118キロ白バイはなんなんだ?となりそうですが、

苫小牧「時速118キロ白バイ事故」の控訴審が即日結審。
苫小牧で起きた「時速118キロ白バイ」と「謎の小回り右折」をした事故については何度か取り上げてますが、一審は右折車運転者の「過失運転致死罪」を認め有罪。弁護人は控訴しましたが、控訴審は即日結審したようです。控訴審での弁護人の主張先に一審での...

この事故はそもそも、右折する前に安全確認を怠っていた事案なので意味が違う。
そもそも刑事の裁判が「どっちが悪いか?」を争っていると思い込んでいる人すらいてびっくりしますが…

 

おそらく検察官としては、大阪高裁の趣旨を引用して通行妨害目的も認めて欲しいのだと考えられますが、進行制御が困難な高速度についても再度審理されるので、まだ不安定な状況ですかね。
被害者叩きをする人の無知もどうかと思うけど。

 

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