こちらについてご意見を頂いたのですが、


引用元:運転レベル向上委員会
34条1項と20条2項に規定されている道路標識等を「指定通行区分」だと誤解釈しているのもそうなんだけど、この人の主張って普通自転車専用通行帯には「左折や直進等の矢印」がないことから、普通自転車専用通行帯には「指定通行区分がない」という話をしている。
第三十五条 車両(特定小型原動機付自転車等及び右折につき一般原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする一般原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、同条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。
左折に関係ない部分を割愛します。
第三十五条 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。
普通自転車専用通行帯に矢印がないことを、「道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているとき」に当たらないと解釈しているわけよ。
これが間違いといえるのは、「通行の区分が指定されているとき」という同じ表現を使っている20条2項からも読み取れる。
「前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは(20条2項)」と「通行の区分が指定されているときは、前条第一項の規定にかかわらず(35条1項)」は、表現の仕方が異なるだけで、前項/前条1項を排除して別の通行区分を指定していることに変わりない。
ところで20条2項の標識に「特定の種類の車両の通行区分」(327の2)があります。

交通法第二十条第二項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において、車両の種類を特定して同条第一項に規定する通行の区分と異なる通行の区分を指定すること。
運転レベル向上委員会が主張する「普通自転車専用通行帯には矢印がない(普通自転車専用通行帯には指定通行区分がない)」という話なんだけど、その主張を元にすると、

「第二通行帯には特定車両の通行区分がない(第一通行帯にのみ特定車両の通行区分が設定されている)」という珍説すら成り立ってしまう(つまり第二通行帯を当該特定車両が通行することを禁止していないとなる)。
その解釈だと特定車両の通行区分を指定した意味を没却してしまうのは言うまでもない。
35条1項でいう「道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているとき」というのは、道路左側部分に指定通行区分があることを意味し、普通自転車専用通行帯に矢印がないこととは関係がないのよね。
普通自転車専用通行帯に矢印がなくても、道路には指定通行区分が「ある」のでして。
それは「交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているとき」という表現からも読み取れること。
・「交差点で左折する車両の通行の区分が指定されているとき」(=左折レーンがあるとき)
・「交差点で直進する車両の通行の区分が指定されているとき」(=直進レーンがあるとき)
・「特定車両の通行の区分が指定されているとき」(=特定車両が通行しなければならない通行帯があるとき)
これらを運転レベル向上委員会は「通行帯に矢印があるかないか?」にすり替えてんのよ。
そもそも彼の解説は、指定通行区分を新設した経緯や、その際の解釈とも異なるし、なぜに「34条1項の規定にかかわらず」をガン無視して34条1項に従ってしまうのかもわからない。
現在も交通量が多い交差点では、道路に右折、左折、直進などが矢印で書かれてありますが、強制力がありませんでした。それを、右折しようと思ったら右側に寄れ、左折は左側へというように通行区分や右折・左折の方法を指定し、また、進路の変更禁止を義務づけました。
道路交通法改正の主眼点をめぐって(警察庁交通企画課長 藤森俊郎)、全日本交通安全協会、人と車、1970年6月
昭和45年以前から左折矢印や右折矢印が描いてあったけど、強制力がない法定外標示だった。
それに法的拘束力を持たせたのが指定通行区分。
公安委員会は、車両通行帯について、車両が交差点で進行方向による通行区分を指定できることとした(第34条の2第1項)
この通行区分の指定は、軽車両以外の車両について適用される。
公安委員会が道路の通行区分を指定したときは、緊急自動車に進路を譲るため又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ない場合を除き、左折又は右折方法の一般原則(第34条第1項、第2項及び第4項)によらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない(第34条の2第2項、関係罰則は第120条第1項第3号、同条第2項)。「道路交通法の一部を改正する法律」(浜邦久、法務省刑事局付検事)、警察学論集、1970年9月、立花書房
「左折車はここ」「直進車はここ」と通行する位置を指定することで円滑と安全を確保する趣旨だから「左折又は右折方法の一般原則(第34条第1項、第2項及び第4項)によらず」その指定された通行帯を通行しろという規定なのに、立法趣旨をガン無視し、条文を切り抜きして「34条1項にかかわらず」をガン無視し、道路標識等も勘違いして解説しているのがこれ。

まあ、警察の質疑回答にも同様の記述があるし、そもそも条文上明らかなので彼が珍説をごり押ししたところで独自見解としか言えませんが、
彼が間違っていることを裏付けるのはここにも表れている。
理由は交差点内に「右左折の方法(111)」の道路標示があり、左折レーンから破線と矢印が指定されているので、左折レーン以外から左折すると「道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して」(34条1項)に従うことが不可能になるからです。
確認してみました。
引用元
どこから左折する?【自転車専用通行帯から?それともその隣の車線から?】意外と悩む、左折方法のルール#自転車専用通行帯がある道路の左折方法自転車専用通行帯に関する交通ルールについて解説しています。特に、自転車専用通行帯がある場合の左折方法に焦点を当て、適切な左折方法とその法的根拠について詳しく説明しています。各項目へは、チャプターから飛んで確認できます。※動画は、作成時のニュ...
交差点内には「右左折の方法(111)」の規制があります。
| 道路標示 | 意味 |
| 右左折の方法(111) | 交通法第三十四条第一項、第二項又は第四項の道路標示により、車両(特定小型原動機付自転車、軽車両及び右折につき一般原動機付自転車が交通法第三十四条第五項本文の規定によることとされる交差点において右折をする一般原動機付自転車を除く。以下この項において同じ。)が交差点において右折又は左折するときに通行すべき部分を指定すること。 |
左折又は右折をするときに矢印の示す方向により破線に沿つた部分を通行しなければならないことを示す。
左折レーン以外から左折すると、破線と矢印に従って通行することはできなくなり、
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
34条1項後段の義務を果たせなくなり、34条1項にも違反することになる。
どのみち自転車レーンから左折したら指定通行区分違反(35条1項)になるし、自転車レーンから左折したら34条1項後段にも違反することになる。
要は34条1項の標示「右左折の方法(111)」も、左折レーンから左折する義務があることを明示しているのよね…
これほど明らかな間違いを押しきる姿勢はわかりませんが、
・自転車専用通行帯を通行する自転車と左折自動車を分離するため、交差点流入部で自転車専用通行帯(第一通行帯)と第二通行帯との間に規制標示「進路変更禁止(102の2)」の規制を実施するものとする。この場合の道路標示は、30m程度の区間に設置するものとする。ただし、進行方向別通行区分の規制が実施されている場合、車両はその車線内を通行しなければならないため、必ずしも進路変更禁止規制の実施の必要はないが、利用者にルールを分かりやすく伝えるために進路変更禁止規制を実施しているものである。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kisei/bicycle/kentoiinkai2/04/jitenshakojo_04_02-2.pdf
道路交通法と標識令が照応関係にあることを理解してないし(34条1項にある「道路標識等」を指定通行区分と勘違いしている)、「34条1項にかかわらず」をガン無視したり、「道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているとき」の解釈も間違っていることからもわかるんだけど、
何が言いたいかというと、このように道路交通法を理解してない人が世の中にはわりといる。
他人が法律通りにブレイすることを期待することにムリがあるんだなとしか言えないのよね。。。
ところで、運転レベル向上委員会の解説をみていると、指定通行区分の標示を34条1項の標示と勘違いしているし、途中からは20条2項の標示とも勘違いしているのですが、
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
そもそも34条1項は3つの義務を課している。
①あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄らなければならない
②できる限り道路の左側端に沿わなければならない(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行しなければならない)
③徐行しなければならない
②にある「道路標識等」を指定通行区分のことだと勘違いしたとしても、これらは「かつ」として全てクリアすることを求めている。
②の「道路標識等」を指定通行区分と勘違いした場合、自転車専用通行帯に進入して左折したなら②をクリアできないことになるのだから「どっちでも問題ない」と解釈できる余地がないのよね。
これについて以前、愛知県警本部交通企画課に聞いたとき。
そもそも県警本部も解釈をきちんとわかってなかったのですが、それでも「どっちでも問題ないというのはあり得ない話で、質問者と回答者の間で何らかの齟齬があったのではないか?」と言ってまして。
というのも、県警本部の人がいうには「電話で質問を受けたときに、質問者と回答者がイメージする内容にズレが生じることは多く、あなたのように一つ一つ前提を確認しながら質問してくれる人は少ない」という。
34条にしても35条にしても「しなければならない」として作為を義務付けしているのだから、相反する内容を「どちらでもよい」と解釈できる余地はない(片方に従えば片方の「しなければならない」をクリアできない)。
なので警察が「どちらでもよい」と回答すること自体がおかしいと警察本部の人が言ってましたが、何らかの齟齬があり回答者が勘違いしたか、「現実的に取り締まり対象にしていない」という可罰的な側面で「どちらでもよい」と回答したか…
ただまあ、運転レベル向上委員会の人は北海道施行細則の読み間違いについて指摘するコメントにも一切耳を傾けず、間違いを押し通していたように、

いくつも警察本部から法令解釈通達が出てるのに訂正しないところを見ても、単に間違いを認めたくないだけなんだろうなと。
それはこういうところにも現れている。

ツールド北海道事故にしても、「道路ではないから道路交通法の適用はない」などと力説してましたが、

北海道警の交通事故マップにも当該事案を「交通事故」として掲載しているわけで、運転レベル向上委員会の主張は明らかな誤りと言える(そもそも道路か否か?という論点は問題解決には繋がらない)。
単に間違いを認めたくない人なんだろうなと…
読者様から聞いてビックリしたのですが、今度は警察庁の解説が間違っていると主張して論破するらしい。

頻繁に間違っているのは運転レベル向上委員会なのだから、たまには自らの誤りに向き合ったほうがいいと思うんだけど(救護義務違反に係る施行令の点数計算は毎回間違っているけど、いつになったら正しく計算するのだろう…)、
誰でも間違いはあるし、それは私も同じ(私は普通自転車専用通行帯には「標識」が必須要件だと勘違いしてましたが、普通自転車専用通行帯と同じ効果がある標示に気づいてなかった)。
県警本部ですら間違えるし、現場の警察官も間違えるのよね。


間違いを起こさないようにきちんと調べることが重要なのは言うまでもないんだけど、間違いを認めて訂正していくことのほうが大事なんですよね。
その意味では反面教師と捉えるのがよいでしょう。
運転レベル向上委員会の解説で疑問なのは、この人は「存在しない前提」を元に主張を展開することがあって、

「裁判官は限定した解釈を示すときはきちんと書くんだ」という前提を元に主張を展開している。
しかしこれはむしろ逆で、「そもそもその事案に当てはまるようにしか判決文を書いておらず、限定する表現を使わなくても限定している」のが実情。
最高裁の上告理由に判例違反がありますが、ここでいう判例違反とはどういうことなのかについて、元最高裁判事の鬼丸氏が語っている。
■最高裁における弁護士の活動で気になった点
⑨ 「判例違反」の判例を広く捉えすぎているケースが多い(最高裁が考える判例というのは,事案の概要がまったく同じである,それなのに,判決の結果が違うという場合にしか判例違反と言わない)。https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2020_09/p18-23.pdf
判例違反を主張して上告したものはほとんどが「事案を異にし適切な判例ではない」となっていることからもわかるように、停止車両が左側の判例は右側の事案には「事案を異にする判例」扱いになる。
けどありもしない前提を元に主張を展開するわけで、架空の前提を元に主張する姿勢がわからない。
この人はマスメディアの間違いを指摘することが好きなわりには自らの間違いには向き合わないわけで、何をしたいのかわからない。
ただまあ、35条1項の義務は「当該車両通行帯を通行しなければならない」なのでして、
「当該」とは「道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されている」なのだから、
「34条1項に従わず、左折の通行区分が指定されている通行帯を通行しなければならない」
と読むのは当たり前なのよね…
「34条1項の規定にかかわらず」を無視したり、条文解釈をすり替えたり立法趣旨を無視したり、34条に規定されている「道路標識等」を勘違いすれば彼のような説明になるわけですが、
無視してすり替えて勘違いしたものが正しいわけもない。
どんなロジックで「論破」するのか知りませんが、論破が目的になれば認識が歪むのよね。
「理解」を目的にするか「論破」を目的とするかの違いなのかもしれませんが…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。









コメント
https://x.com/VdeLfmZm0A67622/status/1729657111884247545
これがモットーの人ですから
コメントありがとうございます。
ドン引きしました。。。